Archive for 08 October 2004

08 October

来るぞ、来るぞ、タイフーン「マーゴン」がっ!

 また週末に台風ですね。今年はちょっと当りが良すぎます。

 さて、タイトルに出したタイフーン「マーゴン」とは、現在日本列島に接近中の、台風22号のアジア名です。
 ハリケーン「アンドリュー」みたいなものだと思えば、そんなに違和感もなくなる・・・かもしれません。

 なお、この台風のアジア名は、太平洋沿岸の台風委員会加盟諸国(日本ほか14カ国が加盟)において、それぞれの国の動植物や自然現象などに関係する名前(言葉)から、一国10個、計140個が選定されているようです。

 日本からも、10種類の名前(Tenbin、Yagi、Usagi、Kajiki、Kammuri、Kujira、Koppu、Konpasu、Tokage、Washi)が採用されています。
 ちなみに、台風22号の「マーゴン(Ma-on)」は116番目の名前で、意味は「馬の鞍(返還前香港由来。そんな名前の山があるらしい)」。
 このあと控えている名前には、サリカー(Sarika:カンボジア。さえずる風)、タリム(Talim:フィリピン。鋭い刃先)など、発音した響きや言葉の意味を台風のイメージと重ねると、なかなか洒落ていると感じる名前も多くあります。

 一方で、日本が提唱した名前は、というと・・・全部「星座の名前」という、機械的に命名した感じがするのがとても残念です。
 Hayate(疾風)とかRaiden(雷電)とかHayabusa(隼)とか、台風のイメージに近い言葉はいくらでもあった・・・って、まあ、その方向だと、第二次大戦中の戦闘機の名前になってしまう、という弊害がありますけどね・・・。
 でも違う方向で、もっと「遊ぶ」こともできたでしょうに。

 それにしても、Usagi(ウサギ)とかYagi(ヤギ)ってのは、あまり台風らしからぬ名前じゃないですか?
 「大型で猛烈な台風ウサギ(Usagi)が接近中・・・」と言われても、「ウサギ?かわいいんじゃない?」と、違和感を感じてしまいます。

 「大型で猛烈な台風ヤギ(Yagi)は、スピードを上げて接近中です」と言われるのは、衝突されそうで怖いですけど。

22:46:50 | yo-ta | | TrackBacks

私の、山での遭難体験 Part 3 -ふと我にかえり、そして下山の途へ-

 一昨日から続く遭難体験記、今日が最終回です。

 去年の12月頭、14:00頃。私は奥多摩で下山中に、巨大な倒木に行く手を阻まれ、初めて道迷いに気づきました。そして、焦りが恐怖を生み、「迷ったら高いところに向かえ」の鉄則に従って・・・と、その時の自分はそれが最良と判断し、私は道もない山の急斜面を登り始めたのでした。

 急斜面を、落ち葉に足を取られて何度も転びながら登り続けて、2時間近くが経過した・・・と私は思いました。日没が、すぐそこに迫っていると。
 いまだ登山道らしい場所には到達できず、このままでは、すぐに暗くなってしまう。ヘッドランプは持っているが、暗くなる前に正しい道を見つけられなければ終わりだ、と、とにかく焦りと恐怖が押し寄せてきます。
 悪いことに、この日は写真撮影の機材を運ぶことを重視した装備だったため、フォストビバーク(不時露営)装備は、それほど持っていませんでした。
 ザックの中身を必死で思い出しますが、防寒に使えそうなのは、着替え一式とレインスーツ、アルミが蒸着されたレスキューシートに、座布団大のエアマット。そして最後はザックそのものに足を突っ込むしかないという感じで、低山とはいえ初冬のビバークにはかなりの覚悟が必要な装備です。
 あとは、初冬ゆえ腐るほどある落ち葉を集めてたき火をして・・・と、半ば私は一晩の奮闘を覚悟しました。

 そして、そのとき私は何気なく時計を見て、信じられない思いになりました。
 時計は、まだ14:30分頃を示していました。あれっ?という感じです。
 自分では焦りと恐怖から、2時間近くさまよったと思ったのに、たった30分しか経っていなかったのです。自分の時間感覚が、4倍に早まっていたのでした。
 そして、その時初めて、意外に冷静だと思っていた自分の心が、崖っぷちに立たされていたことに気づいたのです。
 頭の曇りが晴れ、ハッとして振り返ると、よく登ったなあ、と自分で思うような急斜面がありました。焦ったまま登り続け、どこかでミスでもしていたら・・・。

 これをきっかけに、私の中の冷静な部分が回復してきました。
 このまま登るのは逆に危険と判断し、急な斜面を、自分の足跡を目安に、大きく幅をとったジグザグ歩行でゆっくり下り、先ほどの倒木まで戻ります。
 倒木のところに戻ったのが、15時前。初冬の短い昼は終わりかけ、すでに空は赤くなりかけていました。
 しかし、あらかじめチェックしてあった日没時間から考えて、16:30〜17:00頃までは残照でライトがいらない程度には明るいはずだ、と予測を立てると、だいぶ気が楽になりました。
 最低でも1時間半も余裕があるなら、と、半分開き直って、ここで間食をとりながら、もう一度、これからどうするか考えてみます。

 間食して少し落ち着いた頭で考えると、笑ってしまうほど簡単なことでした。
 最初に迷っていた時間が30分ほどなら、そんなに遠くまでは来ていないはずです。また、人工林を外れた後、人に踏まれていない落葉樹の地面は柔らかく、自分の足跡がはっきりと残っています。
 だったら、自分の足跡を追いかけながら、その先に見えるスギ林を目指せば、ほぼ確実にリカバリーできるのです。なぜ、あんな急斜面を無理に登ったのか。自分で自分が馬鹿らしくなりました。

 とにかく、対応が決まれば、と、15:20頃、私は自分の足跡を見ながら歩きはじめました。
 しばらくすると前方にスギ林が見え始め、その中に、人に踏まれてカチカチに固まった道筋を見つけることができました。間違いなく、使い込まれた登山道です。
 それを見つけたとき、私は心の底からの安堵のため息が出て、なぜか今ごろになって膝がガクガク震えだしました。

 そこから先は、長年の間にたくさんの人が歩いて踏み固められた一般登山道を小走りに進み、外灯に明かりが点りはじめた17:15頃、水根集落の民家近くに出ました。
 ぎりぎり、暗くなる前に、無事、下山できたのです。

 それにしても、時間にして、約1時間半程度の道迷いでしたが、10ヶ月経った今、思い出しても、あの道迷いでは3〜4時間くらい、深い樹林をさまよっていたように感じます。
 それほどの焦りと、恐怖を感じていたのでしょう。
 あの時、時計を見て冷静になるきっかけを掴めなかったら、私は今頃、どうなっていたことか・・・。

 これからの季節、山は紅葉に彩られ、登山やハイキングに出かける人も多くなると思います。
 そして、山に行かれた皆様が、もし道に迷ったりした時に、私の体験がちょっとでも役立てば・・・と思い、恥かしい話ですが、あえてここにさらしてみました。

 これから紅葉登山を予定している皆様、くれぐれも事故には気をつけてください。

 [more...]以降に、この時、何が悪かったのかを自分なりに分析した結果を書いてみます。
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21:14:00 | yo-ta | | TrackBacks