Archive for 15 November 2004

15 November

「モミジ」と「カエデ」の関係。

 秋の紅葉というと、多くの人は、モミジやカエデの赤い色を思い浮かべると思います。
 そこに加えて、「モミジとカエデはどう違うの?」と問われた場合、「うっ・・・」と詰まる人もいらっしゃると思います。
 実は、私はつい最近までそうでした(^^;)。

 で、調べてみた所、両者は学術的には「カエデ属カエデ科」の植物であり、分類学上はカエデ科、モミジ科の区別はないようです。
 では、なぜ「モミジ」と「カエデ」という別々の呼称があるのか・・・。

 「カエデ」の語源は、結構有名な話なので、多くの方がご存知かと思いますが、葉の形がカエルの手(古語で「かえるで」と言ったらしい)に似ていることに起因しています。
 一方で、「モミジ」の方はというと、調べてみたら、昔はどうやら「山が紅葉で色付いている様子」を表す言葉だったとか。
 ですから、童謡の「もみじ」の歌詞には、

  あきのゆうひに てるやま「もみじ」

 と歌ったあとに、わざわざ

  まつをいろどる 「かえで」やつたは

 と、カエデが改めて出てきていたんですね。

 つまり、あの歌詞の部分は、「秋の夕日に照らされた山は、紅葉で色付いている」&「松(緑)を彩る、楓(赤)や蔦(黄色)の色は」、という意味だったわけです。
 私は最近まで、「何でモミジの歌に、わざわざもう一度、カエデなんていう別名を出すかなあ・・・」と思っていました(もちろん、カエデとモミジが同じ木を表す種名だとばかり思っていたためです)。
 で、秋の紅葉の中でも、特に鮮やかな赤色に色付く「カエデ」は、「もみじ(秋の色付き)」の代名詞的存在になって、「モミジ」という呼称も生まれてきた、という経緯があるようです。
 う〜ん、知らんかった・・・(^^;)。

 一方、造園業界では、葉が5つ以上に切れ込んで掌状になっている木(イロハモミジ、ヤマモミジ等)をまとめて「モミジ」と言い、切れ込みが3つのもの(トウカエデ等)をまとめて「カエデ」と呼んでいるそうです。
 こちらに関しては、いちいち細かい名前にこだわっていたら品評時に混乱するという理由であるとか、古くから庭園樹木として使用されていた群とそうでない群であるとか、色々説があるようですが、古くからの慣習をもとにした、伝統的な呼称であることは間違いなさそうです。
22:07:15 | yo-ta | | TrackBacks