Archive for 15 October 2005

15 October

一連の、デジカメCCD不具合問題をちょっと整理してみる。

 週末のたびに、微妙に悪天候なのは勘弁してほしいですねぇ・・・。
 寝倒す言い訳になっても、外に出られない=ネタが増えないってことですからね。

 特にウチの「表」は(^^;)。

 では、本題です。
 今月頭から色々と話題に取り上げてきた、多数のメーカーを巻き込んだ、CCDの不具合に伴うデジカメのリコールの数々ですが、どうやら一段落ついたようですので、ここで一度、整理してみましょう。
 長文になりますので、場合によってはここで回線を落として、キャッシュで参照してください・・・。

 今回の、デジカメメーカー8社を巻き込んだ大量リコール騒動の発端は、10/3日、ソニーから過去(2003〜2004年)に製造したデジカメに、不具合が生じたCCDが搭載されている可能性がある、との発表があったことでした。
 ソニーの説明では「製造工程上の理由で品質にばらつきがあるものが生産されたこと」および「使用環境などの要因が重なる」事により、画像が映らない等の症状が発現するということでした。
 これがソニー内部だけにとどまらなかったのは、ソニーがCCDを部品として外販していたことが原因です。
 同じ製造ラインで製造されたCCDは、他社製デジカメに搭載されていることが容易に想像できたことから、マニア間では他のメーカー製のデジカメへの波及が、この時点で指摘されていました。

 ちなみに、ソニーの発表と同日に、ビクターのデジビデと、富士フィルム社製デジカメの一部にも、同様の障害があることがそれぞれのメーカーから発表されていましたので、ソニーの発表の翌日には、他社への波及は、ほぼ間違いない事実として考えられるようになりました。
 そのマニア憶測を裏付けるように、10/6日にキヤノン、3連休の週末を挟んで11日にニコンコニカミノルタからそれぞれ、不具合報告が出されました。
 そして10/12日にリコー、13日にはオリンパスから同じ障害の報告があり、このCCDのことは「ソニー爆弾」と呼ばれるようになり、現在に至っています。

 この問題は一応、各社それぞれが保証期間を問わず、対象機種に対しては無償でCCD交換などの修理を行うことで、決着がつきそうです。
 しかし、対応にはかなり後手を踏んだと言わざるを得ません。

 今回の騒動で各社から対象機種とされていた機体の多くは、2003〜2004年発売の、デジカメとしては少し古く、しかも低価格なコンパクトモデルが中心でした。
 そして一部の機種では、以前からとにかく画像トラブル系の故障が多いという噂があり、特にソニー製品はこの時期に多数のデジカメをポンポン出していたことから、「ソニー製品はすぐに壊れる」とか、「有償修理で儲けられるように、保証期間が過ぎたら故障するようなタイマーが埋め込まれているんだ!」という噂まで流れるようになっていました。

 そして、不具合が発生した機体の発売時期が、2003〜2004年頃というのも、また痛かった要因のひとつです。
 なぜなら、その頃はデジカメの一般普及率が一気に伸びた頃に重なっていた(と考えられる)という背景があったためです。
 各社ともに販売台数が膨大な量になっていた時期と一致するため、対応すべき機種数も膨大になると考えられ、火に油を注ぐ形になってしまいました。

 恐らく、CCDの不具合自体はかなり以前に発覚し、対策準備も進められていたのでしょう。
 しかし、対応すべき機種数が膨大なものと考えられ、十分な数の代替部品を確保するための時間が必要とされたのが、発表が2年後になった理由かもしれません。

 とは言っても、ユーザー間では2年前の機体の不具合を今ごろ認められても・・・というのが、大方の見方になっています。
 一部の掲示板報告では、(真偽のほどはともかく)有償修理と言われたが、その額が低価格デジカメが買えるほどの額だったので処分して新しく買い直したが、今となっては泣き寝入りするしかない、という内容の発言まであったり・・・(もちろん、新機体の購入額までは補償されませんからね・・・)。

 それにしても、今回の件では、デジカメが急速に大きくなった市場だけに、色々な問題が浮き彫りになったような気がします。

 今回の騒動に巻き込まれたデジカメメーカーは、銀塩(フィルム)時代からカメラを作っていたメーカーがほとんどです。
 カメラメーカーは光学部品であるレンズなどの設計や製造のノウハウは、そのままデジカメでも生かすことができました。しかし、基幹部である電子機器や撮像素子であるCCDなどの開発、製造は自社で行えない場合がほとんどでした。
 (銀塩時代でも、カメラ本体はカメラメーカーが作っていたが、フィルムは別の会社が作っているという図式があった延長線上と考えていただきたい)

 よって、CCDなどは外部からの購入で調達し、画像処理を行うメカニカル部分は、新たに電子機器のチームを作って対応したようです。
 しかし、製造に関しては、他社の工場などに頼らざるを得ず、多くのカメラメーカーは、家電製品メーカーに製造を委託する形で、デジカメを製造していました(委託先としては、三洋電機が有名でした)。

 なお、国内でCCDを製造できるメーカーは、ソニー、松下電器、シャープの3社が有名ですが、このうち最も外販率が高かったのがソニーだ、とマニア間では言われています。
 また、富士フィルムは、スーパーCCDハニカムという、特殊なCCDを自社で開発していましたが、今回の騒動を見る限り、製造能力は自社内になかったと考えられ、恐らくはソニーに製造を委託していたと考えられます。

 こうしたことから、一時期は恐らく、かなりのメーカーがCCDの供給をソニーに依存していたと考えられます。
 こんな背景があったことが、ソニー製CCDに存在した不具合が、各社に波及した要因なのでしょう。

 急速に成長した市場ゆえに層が薄く、円熟したように見えて、吹けば飛ぶような軽い物でしかない。
 どうやら、今回の騒動からは、そんな背景が見えてくるような気がしました。
22:23:46 | yo-ta | | TrackBacks