Archive for November 2005

28 November

軽く、恨み言をひとつ。

 「東京の住宅地内でハクビシンを見かけた」というネタを上げたばかりですが、都心部ど真ん中のアキバで、野生のタヌキが保護されるという騒ぎがあったそうです。

 タヌキ:東京・秋葉原に出没 「大捕り物」展開(毎日新聞)

 まあ、このあたりの神田川沿いでしたら、皇居外堀周辺〜御茶ノ水あたりに結構な規模の緑地がありますので、多分、この一匹だけじゃなく、他にも何匹か、この近くに土着の個体が住んでいると思います(渋谷の宮下公園〜明治神宮周辺にも、結構な数が住んでるらしいですから)。
 やっぱり連中はたくましい・・・って、こんな事がニュースになるってことは、そんなに東京は平和だったのか?

 しかし、まさか都心部土着の個体という可能性は、誰も考えないでしょうから・・・コイツはどこかの飼育施設に引き取られるか、遠くの全く知らない場所に放されるか、という運命なんでしょうね・・・。
 ああ、可愛そうに・・・(かといって、地域の土着個体であるか否かの判別も、また難しいことは確かなんですが ^^;)。

 では本題です。
 先日、自宅のPC(もちろんMacです)の調子が悪かったので、ドライブにMac OSのディスクを挿入し、Cキーを押しながら起動。
 ディスクドライブからの起動が完了した後は、セットアップツールを起動してHD上にOSのみ再セットアップして、一時間ほどで無事、完全復調しました。

 この、MacユーザーではSystem 7の頃(1990年代)から当たり前の「CD起動でOSのみ載せ換え」という作業が、Windowsではまだできないってのは、厄介ですよね・・・。
 初めて会社で触ったWin PCでOSが狂ったとき、Macの感覚でSEに「OSだけ載せ換える方法がマニュアルにないけど、どうやるの?」と聞いて、「そんな魔法みたいなこと、できるわけないだろっ!」と返された日は、懐かしいほど昔ですが・・・。
 (しかし、現行機種ではメーカーと機種によってはできる、という話を聞きましたが、本当なのでしょうか?)

 まあ、何でこんなことを書くかというと、また一台、社用機のWin PCのOSが吹っ飛び、HD上のデータが全て「持っていかれた」からです。
 あ〜、やれやれ、無駄な手間を取らせやがって・・・。

 こちらのWin PCの復旧作業は、HDを完全にクリーンにしてパーティションを割り付け、OSをインストールしたあとで、各種設定を「手入力」して再起動したらLANを認識せず(お約束だな〜)、あれこれ設定をいじって修正。
 その後、アプリケーションをいろいろ乗せて、バックアップしてあったファイルを載せて・・・と、何とか使える程度に復調するまで丸1日。完全復調には3日ほどかかりました。
 ちなみに、このHDぶっ飛びの結果、仕事は1週間ほど手戻りになっています(バックアップの周期がそんな感じだから仕方がない)。

 それにしても・・・なんなんだ、この復旧までの手間の差は・・・。
 ゲイツ氏の御母堂は、ホンマにヘビーユーザーなんやな〜(※)。

 と、こういう話をすると、「生涯是!」という知り合いに、Windowsの利点を昏々と説かれる訳です(^^;)。
 まあ私だって、100%、Mac OSの方が優れている、なんて言うつもりはありません(ようは、目的に応じて使い分ければいいだけの話で)。

 しかし、その知り合いが並べ立てた利点の中には、
  1.Windowsのみ対応のエロゲーが豊富
  2.Windowsのみ対応の
ウイルスが豊富

 という項目が含まれている訳で・・・。

 1.は一部の人たちにはとても重要な要素かもしれないので一応スルーするとして、2.明らかに利点じゃないだろ・・・(添付ファイル&パッチ当ての有無で「ロシアンルーレット」を楽しむような、ビミョ〜な性格ならともかく・・・)。

(※)
 Windowsの開発コンセプト会議において、ビル・ゲイツ氏は「ウチのママでもPCが使えるようなOSにする」と述べたという逸話があります。
 しかし・・・普段使用はともかく、トラブルが発生した瞬間に、「普通の人」では手に負えなくなると思うのは、私だけ?

22:20:00 | yo-ta | | TrackBacks

26 November

東京の住宅地を徘徊する動物の正体は・・・

 先週末はやたら寒かったのに、今週末はそうでもなかったです。
 それでも、近所の紅葉はどんどん進んでおり、今日は近所の団地のモミジの木が真っ赤に染まっていました。

 サクラ(ソメイヨシノ)は既に丸裸。イチョウも持って来週いっぱいという所でしょうから・・・冬が近づいてきましたね。

 では本題です。
 今日、外出先からの帰り道、暗くなった近所の裏道で、とあるお宅の庭から、するするっと出てきた動物がいました。

 んん〜?野良猫かな?
 と思っていましたが、外灯の逆光を浴びたその体を見ると、鼻先はネコより明らかに前に突き出し、体は前後に長く、足は短いという姿です。
 でも、大きさ的には、野良猫とあまり変わらないか、尻尾が長い分、大きいという感じです。

 で、道路を渡り切った所で、その動物は違うお宅の庭に侵入しようとして、ふとこちらに顔を向けました。
 そのとき、暗い中でもはっきり見えた、鼻筋に通った白い筋・・・。

 え?顔にあんな模様があって、ネコくらいの大きさで、ネコより鼻先が尖って、体と尻尾が長くて、足が短い・・・。
 その条件に合う外観の動物って・・・。

 は、ハクビシンだよ!

 慌ててその動物が逃げ込んで行ったお宅の庭をのぞきましたが、すでにその動物の姿はありません。
 しかし、あの鼻筋の白い模様は、間違いなくハクビシンそのものでした。

 最近は、山間部から山村域、里山地帯〜郊外住宅地へと、人家の屋根〜屋根を伝って勢力を広げている(ハクビシンは木登りが得意)という話をよく聞きますが。
 まさか、西の端っことはいえ23区の住宅地でその姿が見られるなんて・・・。

 しかし、最近は渋谷区のど真ん中でもタヌキが繁殖しているし、ニホンザルが麻布のど真ん中まで来てしまうこともありましたし。
 それに、ハクビシンも民家の屋根裏や物置小屋の片隅で繁殖したりしているので、都心部まで到達していても、何ら不思議なことはないとは思います。

 ・・・にしても、びっくりしたな・・・。

 あ、そうそう、ハクビシンはSARSの媒介動物として有名になってしまいましたが、あれはあくまでも食材として超過密な状態で養殖が行われ、感染症の蔓延が起こりやすかった個体群の話であり、さらにそれを人が食べた(高級食材なのだそうな)ために、ヒトへの感染が生じたようです。
 日本にいるハクビシンからは、まだSARSのコロナウイルスは確認されていなかったはず・・・。

 まあしかし、国内産であっても、野生動物(死骸や排泄物含む)に不用意に触るのは、どんな病原菌を持っているかわからないので、やめておいた方がいいですね(^^;)。
 (菌じゃなくて、寄生虫も色々持ってるし。マダニをはじめ、クリプトスポリジウムとか・・・)
22:27:07 | yo-ta | | TrackBacks

25 November

『下流社会』を読んで。・・・私の感想は、「ふ〜ん・・・だから何?」

 今朝、一番にフロアに来た人たちは、床にマグロが転がっている・・・つまり、昨夜飲みすぎた人たちが、死んだように寝ている姿を見たそうです。

 私が出社した時は、その人たちは「ゾンビ(つまり二日酔い)」になってフラフラ歩いていました・・・。
 ああ、なんてホラーな職場なのか・・・。

 ってか、いくら昨夜が某上司の「執行役員昇進に伴う栄転祝い」だったからって、翌日を考えずに飲みすぎだ!>ゾンビ達。

 では、本題です。
 最近話題になっているというこの本、私も読んでみました。



下流社会 新たな階層集団の出現


 しかし・・・何というか、読後に何の目新しい視点も価値観も提供されず、「ふ〜ん・・・だから何?」という、思いっきり中途半端な感じが残ったのは、何というべきか・・・。

 基本的に、この書の中では、「日本=首都圏」で完結しているようで、首都圏近郊の数百〜2,000人程度に対するアンケート結果だけで、「今の日本の社会はこんなに変容しているかもしれない」という仮説(筆者自身がそう言ってる)を述べている本です。
 で、筆者自身が認めるとおり、母集団が首都圏周辺在住者に偏向している上に、サンプル数が少なすぎるアンケートから求めた解析で、日本の社会構造全体の傾向を捉える、という試みは、乱暴と言わざるを得ません(というか、私は自分で前提が甘いと認めてるなら、本の内容の説得力がゼロじゃん、と言いたいですが)。
 しかも、調査手法にはWeb調査による部分がかなり多くを占めているようであり、こんな前提条件では、趣味の傾向が「パソコン/インターネット」に偏向するのは当然の結果だと誰もが予想できるはずですが、それを「下流」の特異的傾向と捉えるのは、データ処理の中立性に欠けると受け取られてもおかしくないでしょう。

 さらに、筆者のイメージする社会構造は、「首都圏在住者=上流」、「地方都市在住者=中流〜下流」という前提があるようですが、これもあまりに暴論であると言わざるを得ませんよね・・・。
 地方都市には、その地方の歴史と風土に由来する価値観が存在し、それは東京における価値観とはまた異なる次元で評価されるべきことだと私は思います。

 それに、アンケート調査をもとにした書というと、中立的な結果が得られているように見えますが、母集団の選定や質問構成から「統計のマジック」に至るまでをごくわずかに操作しただけで、簡単に自分の望む結論を誘導することが可能なことは、高校時代に数学の「確立統計」を学んだ方なら誰でもわかるでしょう。
 シンクタンクとはいえ民間企業ですから、研究者的正確性を持たせた統計調査を行うのは困難(クライアントの意向を反映させるのが前提)なのは当然ですから、データ解析結果を提示する場合には、集計(加工)後のグラフや数値表を出すだけでなく、少なくとも、生データや調査票の原票(アンケートの質問項目すベて)を明らかにしておかないと、「記述内容に対し、他者に判断を委ねるための情報」が不足しており、読み手に記述内容を判断してもらう書としては不適切です(←ここ、断言しておきます)。

 しかも、そうした「読み手が中立的思考で物事を考えるためのアシスト」が無い結果、この書に対する評価は盲従的な高評価と排斥的な低評価に二分され、中立的な立場からの考察がほとんどされないという「感情的な水掛け論」の状況が生まれていると思います。
 実際、私が見た書評の限りでは、この書を高く評価する人たちは、批判的な意見をもつ人たちを「下流の人間が、気まま勝手に生きることを否定されて必死になっている」という感情的な評価に走り、批判的な立場の人からは、肯定的評価に対し「若者世代を差別的に見下した見解を正当化するために、もっともらしいデータを引用もしくは加工しているだけの内容に盲従できる見識を疑う」という感情的な評価に走る傾向があるように受け取れます(それにしても、どちらも極端な意見ですな ^^;)。

 こんな意見の応酬が、進歩的討論でないことは、誰の目にも明らかでしょう。
 この状況からは、「世間を煽って本を売る」という目的は達成できても、「本書に示した内容をもとに、今後の社会構造のあり方を真剣に議論する」という方向の目標達成には程遠い結果になっていると言わざるを得ません。
 このあたりを、筆者はどう捉えているのでしょうか?

 とりあえず、本書に対しては、ここまで書いてきた内容が是正されない限り、私の中では、最初に述べた感想が変わることはありません(←ここも断言しておきます)。

 まあ、私が唯一、共感できたのは、若者がフリーターやニートに陥る心理の部分です・・・が、これとて、既に他の書物などで何度も語られていることですから、特に目新しいものでも、長々引っ張れる話題でもなかったですし・・・。
 「ここから新たな階層社会が生まれようとしている」と言われたって、所詮は筆者の仮定の話でしかないし・・・。

 何というか、結局、「だから何?」という読後感しか残りませんでした。

 というか、この本って結局、筆者の「仮説」を表現したものですから、考察的な部分は文末を全て「かもしれない」に脳内変換しないと、筆者の正しい見解として読めないんですよね?
 ・・・めっちゃ読みづらいって(^^;)。

 では、[more...]前文章の最後に。
 「自分らしさを探す」ことを「何もしない」ことの言い訳(口実)にしてフリーター生活に逃げていては、最後まで「何もできない人間にしかなれない」という点には大いに賛同します。

 ただし、「派遣社員」を同じカテゴリーに押し込むことは反対です。
 派遣社員の皆様の中には、結婚退職し、育児がある程度落ち着いた主婦層の皆様や、一度定職から身を引いた人が、再び仕事に出る手段としてこの制度を使っている場合が少なくありません(私のまわりにいる派遣社員の皆様には、正社員転換試験にチャレンジする人も多いです)。
 だから、「派遣だから腰かけ感覚であり、進歩性がない」というのは大きな間違いで、彼ら・彼女らは「正社員」に近しい「進歩的意識」を持っている人たちだと考えるべきだと思います。

 (そのほか、まだまだ続きますが、我ながらどうでもいい内容を含みます。興味のある皆様は[more...]以降をどうぞ)
[Read more of this post]
22:23:00 | yo-ta | | TrackBacks

24 November

ソニーの音楽CDに組み込まれたコピー保護機能が、Win PCのセキュリティにダメージを与える。

 後輩がマスクをして仕事をしていたので、「風邪か?」と聞くと、違うという答えが返ってきました。

 「じゃ、何でマスクなんかしてるんだ?」
 「うつされないためです」

 確かに、現在は「風邪ひき」が職場に多くなっています(先週、急に真冬並に寒くなったからなあ・・・)。
 私も、うつされる前にマスクつけようかな・・・(花粉症の時のが、大量に余ってるし ^^;)。

 では本題です。
 もう、「糞規格」の代名詞であるコピー保護機能付き音楽CDについてですが。

 なぜか、日本では全く報道されませんが、SONYのレーベルから発売されているコピー保護機能付き音楽CDが、とても由々しき事態になっています。
 基本的に、何が問題なのかはこちらの記事でどうぞ。

 ソニーの音楽CDに「トロイの木馬」??真の問題点は何か
 ベンダーがマルウェアをインストールするなんて……

 ソニーCDが明らかにしたセキュリティー業界の本質的問題(上)
 ソニーCDが明らかにしたセキュリティー業界の本質的問題(下)

 まあ、記事を読んで、私が理解できた範囲(誤解も多々あると思いますが)で話を続けますと・・・。
 つまり、ソニーの音楽CDには、PC上でのコピー防止機能として、ある種のファイルを不可視属性にして、音楽CDから音源ファイルをリップ(汎用音声ファイルに置き換えること)する時に、裏からそれを阻害する働きをするソフトウェアを自動的にPCにインストールする仕様になっているようです。
 しかし、それがユーザー側で検知できない上に、一部のウイルスやハッカーの活動を助けるようになっていたために、それに気づいたアメリカを中心としたユーザーの間で、「どういうことやねん!」という大論争が起きているようです。
 (日本では、なぜかどのメディアもほとんど取り上げませんが)

 そして、コソコソ裏で稼働するソフトウェアをインストールする仕様であった結果、こんなことにもなってしまいました。

 米ソニーCD問題:テキサス州当局、スパイウェア法違反で提訴

 つまり、「(勝手にインストールされる)このソフトが見つかったり、削除されないように、利用者を欺く手法を使った」ことが、スパイウェアに相当する、と判断され、訴訟にまで発展したという事です。

 ちなみに、最近になってやっと対象となるディスクの回収と、修正ソフトウェア(といっても、このソフトが不可視属性にしたファイルでも、ウイルスチェッカーが働くようにするというだけで、本質的解決になっていない)の配布が行われたそうですが、知ってました?>皆さん。
 この技術は国内で販売されている一部のソニーの音楽CD(8ヶ月もの間、市場で売られていたそうで・・・)にも搭載されているそうですから、国内のWin PCにも、同じような被害が発生している可能性が、かなり高いと考えられます(なのに、何で取り上げないんだ?日本のメディア?)。
 国内のメディアは、その重要性を全く認識していないんじゃないかと思うほど、何も騒がないんですけど・・・。

 まあしかし、音楽業界はいまだに「違法なデジタルコピーが氾濫しているために、著作権が守られないばかりか、売り上げが減少して云々」の話を、"なんとかの一つ覚え"のように繰り返し、あらゆる手段で、ユーザーから金を巻き上げようとしていますが。
 そんな「売り手の都合の一方的押し付け」が呼び込んだ結果がこれってのは、もはや嘲笑すべきですね。

 それにしても、CCD不具合に伴う、関連メーカー約10社にも渡るデジカメ&デジビデ大量不具合発生騒動といい、今回の件といい、最近のSONYの品質管理は、どうなってんだい?
 (まあ、私は"色々あった"ため当分の間、SONY製品は買わないことに決めているので、どうでもいいけど)
[Read more of this post]
22:31:00 | yo-ta | | TrackBacks

23 November

青臭い思い出・・・。

 来月前半の資格試験×2の対策のため、しばらくお出かけはナシです。
 よって、「」のネタは、増えることがない日々です(^^;)。

 では本題です。
 コンビニで立ち読みした、隔週刊の漫画雑誌、講談社「イブニング」に連載中の、「農大物語 もやしもん」で、「シュールストレミング(※1)」が取り上げられていましたが、これを見て、学生時代の「ある事」を思い出してしまいました。

 この漫画は、某農業大学の醗酵学研究室を舞台にした漫画で、いわゆる醗酵系の食品、飲料あるいは醗酵に関わる細菌類などが、様々な騒ぎを起こすというお話です。
 ちなみに言っておくと、農学部出身者の体験から言えば、大学の農学部は、こんな怪しい場所ではありま・・・せんと言いたい所ですが、「6の真実に4の創作」という、三国志演義みたいな感じがするのが何ともいえません(^^;)。

 まあとにかく、第一回で取り上げていたのが、キビヤック(※2)でしたから、どこまでコテコテな「醗酵」が来るのかと思ったら、ついにコレが来ましたか・・・。

 私はこの「シュールストレミング」には、ちょっとした思い出があります。
 同回生(西日本の大学の言い方で、「同じ学年」という意味。東日本の大学で進級段階を意味する「回生」ではない)の友人が、数ヶ月ほど北欧に渡航していたのですが、そのお土産が、この「シュールストレミング」でした。

 私が所属していた研究室(ゼミ)は、動物の検体が頻繁に持ち込まれるゼミで、その解剖なんかも普通に行われているという、なかなか「すぷらったー」な場所(おかげで血飛沫系のホラー映画は全然恐くない)であり、ちょっとした「臭さ」には、皆、慣れていました(ちょっと腐敗気味の検体なんて、ザラだったから)。

 ついでに、新鮮な(生き締めなどの)検体が入ってくると、「謝肉祭」と称して、解剖検体(つまり肉)を試食することもあったと言う、「濃厚」な世界でもあったわけです。
 おかげで、アザラシ、オットセイ、ウミガメ、イルカ、クジラ etcの高級食材(紙一重でゲテモノですが)を、レストランでなくゼミで「食った」という経験があり・・・と、まあ、そんな話はどうでもいいか(^^;)。

 とにかく、そんな環境でしたから、「世界一臭い缶詰」という「シュールストレミング」も、「食ってみれば鮒寿司みたいで結構うまいじゃん」とか言いながら、みんなで食べていたりした訳です(^^;)。
 う〜ん、我ながら、なんて濃い・・・。

 しかし、ある先輩の何気ない一言が、全員の意識を180度反転させました。
 その先輩は、ゼミに顔を出した瞬間に、室内に漂う臭気に気付いて一言。

 「おい、誰や?海鳥の"胃内容物"を出しっぱなしにしてるんは?

 次の瞬間、その場にいた全員の喉がオエッ!と反転。

 そう、この「シュールストレミング」。
 私たちが海鳥を解剖した時、胃袋から出て来る半分消化された魚(つまり胃内容物)に、見た目も臭いもそっくりなんですよね(鳥の胃の中で、体温の作用で発酵してるんだと思う ^^;)。
 そこにいた全員が、「アレに似ているなあ」と思いつつも、誰も口に出さないから気のせいだ、と、半ば強引に忘却していたことだったんですが・・・。

 以後、様々な「ゲテモノ」を食べてきた同じゼミの仲間達でも、この「シュールストレミング」に手をつける人は、誰もいませんでした(笑)。
 学生時代の、青臭い(ってか、単に臭いだけ?)思い出です。

(※1)シュールストレミング
 スウェーデン産のニシンの缶詰で、中でニシンが醗酵して、発生したガスで缶が破裂しそうなほど膨らんでいる。またの名を、世界一臭い缶詰とも言う。
 なお、北欧圏の発音では、「シュールストォミング」と聞こえるため、それを日本語音写して「シュールストロミング」表記される場合も多い。

(※2)キビヤック
 アザラシやセイウチの内臓を取り、カラッポになった腹腔内に海鳥を詰めて醗酵させるという、強烈な食品。アラスカ先住民(イヌイット)の伝統的な発酵食品らしい。
 ちなみに、食べるのは鳥の内臓で、肛門から直接「じゅるっ」と吸い出すそうな・・・。
 もひとつちなみに、アザラシやセイウチなどの海生哺乳類は、陸生哺乳類とは脂肪酸組成が少し異なるらしく、「腐敗臭は別次元に臭い」(体験談)ため、キビヤックの臭さは・・・想像したくない・・・。
22:40:54 | yo-ta | | TrackBacks