Archive for 23 November 2005

23 November

青臭い思い出・・・。

 来月前半の資格試験×2の対策のため、しばらくお出かけはナシです。
 よって、「」のネタは、増えることがない日々です(^^;)。

 では本題です。
 コンビニで立ち読みした、隔週刊の漫画雑誌、講談社「イブニング」に連載中の、「農大物語 もやしもん」で、「シュールストレミング(※1)」が取り上げられていましたが、これを見て、学生時代の「ある事」を思い出してしまいました。

 この漫画は、某農業大学の醗酵学研究室を舞台にした漫画で、いわゆる醗酵系の食品、飲料あるいは醗酵に関わる細菌類などが、様々な騒ぎを起こすというお話です。
 ちなみに言っておくと、農学部出身者の体験から言えば、大学の農学部は、こんな怪しい場所ではありま・・・せんと言いたい所ですが、「6の真実に4の創作」という、三国志演義みたいな感じがするのが何ともいえません(^^;)。

 まあとにかく、第一回で取り上げていたのが、キビヤック(※2)でしたから、どこまでコテコテな「醗酵」が来るのかと思ったら、ついにコレが来ましたか・・・。

 私はこの「シュールストレミング」には、ちょっとした思い出があります。
 同回生(西日本の大学の言い方で、「同じ学年」という意味。東日本の大学で進級段階を意味する「回生」ではない)の友人が、数ヶ月ほど北欧に渡航していたのですが、そのお土産が、この「シュールストレミング」でした。

 私が所属していた研究室(ゼミ)は、動物の検体が頻繁に持ち込まれるゼミで、その解剖なんかも普通に行われているという、なかなか「すぷらったー」な場所(おかげで血飛沫系のホラー映画は全然恐くない)であり、ちょっとした「臭さ」には、皆、慣れていました(ちょっと腐敗気味の検体なんて、ザラだったから)。

 ついでに、新鮮な(生き締めなどの)検体が入ってくると、「謝肉祭」と称して、解剖検体(つまり肉)を試食することもあったと言う、「濃厚」な世界でもあったわけです。
 おかげで、アザラシ、オットセイ、ウミガメ、イルカ、クジラ etcの高級食材(紙一重でゲテモノですが)を、レストランでなくゼミで「食った」という経験があり・・・と、まあ、そんな話はどうでもいいか(^^;)。

 とにかく、そんな環境でしたから、「世界一臭い缶詰」という「シュールストレミング」も、「食ってみれば鮒寿司みたいで結構うまいじゃん」とか言いながら、みんなで食べていたりした訳です(^^;)。
 う〜ん、我ながら、なんて濃い・・・。

 しかし、ある先輩の何気ない一言が、全員の意識を180度反転させました。
 その先輩は、ゼミに顔を出した瞬間に、室内に漂う臭気に気付いて一言。

 「おい、誰や?海鳥の"胃内容物"を出しっぱなしにしてるんは?

 次の瞬間、その場にいた全員の喉がオエッ!と反転。

 そう、この「シュールストレミング」。
 私たちが海鳥を解剖した時、胃袋から出て来る半分消化された魚(つまり胃内容物)に、見た目も臭いもそっくりなんですよね(鳥の胃の中で、体温の作用で発酵してるんだと思う ^^;)。
 そこにいた全員が、「アレに似ているなあ」と思いつつも、誰も口に出さないから気のせいだ、と、半ば強引に忘却していたことだったんですが・・・。

 以後、様々な「ゲテモノ」を食べてきた同じゼミの仲間達でも、この「シュールストレミング」に手をつける人は、誰もいませんでした(笑)。
 学生時代の、青臭い(ってか、単に臭いだけ?)思い出です。

(※1)シュールストレミング
 スウェーデン産のニシンの缶詰で、中でニシンが醗酵して、発生したガスで缶が破裂しそうなほど膨らんでいる。またの名を、世界一臭い缶詰とも言う。
 なお、北欧圏の発音では、「シュールストォミング」と聞こえるため、それを日本語音写して「シュールストロミング」表記される場合も多い。

(※2)キビヤック
 アザラシやセイウチの内臓を取り、カラッポになった腹腔内に海鳥を詰めて醗酵させるという、強烈な食品。アラスカ先住民(イヌイット)の伝統的な発酵食品らしい。
 ちなみに、食べるのは鳥の内臓で、肛門から直接「じゅるっ」と吸い出すそうな・・・。
 もひとつちなみに、アザラシやセイウチなどの海生哺乳類は、陸生哺乳類とは脂肪酸組成が少し異なるらしく、「腐敗臭は別次元に臭い」(体験談)ため、キビヤックの臭さは・・・想像したくない・・・。
22:40:54 | yo-ta | | TrackBacks