Archive for 20 March 2005

20 March

山で出会った動物(哺乳類)の記録 Part 9 キツネ&ツキノワグマ

 今回の2種は、実際にはどちらもまだ本体に会ったことがない動物です。タイトル変えろよ、と言われるかも(^^;)。
 奥多摩の、私がよく行く場所には、間違いなく生息しているらしいのですが、出会う機会には恵まれていません。

 キツネは、昔話の中ではタヌキと並んで、ヒトを化かす動物のツートップです。
 そういう扱いを受けていることから、昔はキツネもタヌキと同じくらい、身近にいた動物だったことがうかがえます。
 しかし、北海道のキタキツネはともかく、東京近郊ではホンドギツネはタヌキと比較して、人間の作った環境への適応性がそれほど高くないらしく、数が極端に減っていると言われています。
 奥多摩の山の中でもあまり姿を見られることはなく、かなり運が良くて、山間部の集落内のゴミをあさりに来る所を見る程度だそうです。
 (逆に北海道では、キタキツネはよく見かけても、エゾタヌキの姿を見かけることは、ほとんどないそうですね・・・)

 奥多摩の山々は、関東の低山のご多分に漏れず、スギ・ヒノキの人工林が広がり、落葉広葉樹林(ネズミや木の実等、餌が多い)は浮島のようになっている場所が多くなっています。
 生息に適した環境の面積が狭い+連続性が確保されていないという事もあって、キツネは近年、その姿を見るのがまれになってしまったようです。
 タヌキと違い、雑食といっても肉食が主体となる傾向を示すことも、「食えるものは何でも食う」というタヌキと比較して、勢力を盛り返せない要因かもしれません(最近は、主たる餌であるノネズミも減っているので・・・)。
 ちなみに、タヌキと思われる足跡は腐るほど見ている私ですが、キツネに関しては、まだ奥多摩では足跡も何も見たことがありません(足跡の確認は、積雪期でないと無理かもしれませんね・・・)。

 もひとつちなみに、首都圏に近い地域で見ても、千葉県内ではキツネはほぼ絶滅の状態にあるといわれており、埼玉県では西部(秩父方面)に追いやられ、神奈川県でも丹沢山塊などの山域部に追い込まれ、いずれの地域でもかなり危機的な状態だそうです。
 タヌキと並び称された時代は、本当に「昔話」になってしまうのでしょうか・・・。

 そしてツキノワグマ。
 こちらは古い資料によれば、昔は武蔵野・府中付近〜奥多摩まで、都内でも広い範囲に生息していたようです。
 しかし、現在では青梅市西部〜あきる野市西部〜檜原村〜奥多摩町の狭いエリアに追い込まれてしまいました。
 もちろん、これは極端に進んだ宅地化が大きな要因だと言われています。

 現在、奥多摩町の山間部には推定で約50頭前後のツキノワグマが生息していると言われていますが、あの面積の中にたったの50頭しかいないのですから、コイツに出会えたら、相当の幸運に恵まれたと思った方がいいみたいです。
 ちなみに、かなり古い情報ですが、八王子の奥高尾山系、景信山〜小仏城山までの間にも、一時はツキノワグマの生息が確認されていたようです。今はもうスギ林だらけなので、継続して生息している可能性はかなり低いと思いますが・・・。
 (神奈川県側は雑木林も多いので、そっちに逃げていたら、まだ何とか大丈夫かも・・・という程度。東京都側は、見事に杉だらけなので、まずいないでしょう)

 なお、ツキノワグマの生息の痕跡(足跡、爪痕、クマ棚等)に関しては、奥多摩では結構、見る事が出来ます。
 私が特によく見るのは、サス沢山〜惣岳山(小河内)間の落葉広葉樹林、鷹ノ巣山の浅間尾根沿い(稲村岩尾根のヒルメシクイのタワでも足跡確認)、石尾根の六ツ石山の北側周辺です。
 体が大きい動物だけに、残す痕跡も派手でわかりやすいので(^^;)、皆様もちょっと注意すれば、簡単に確認できると思います。

 今日、取り上げた2種に共通しているのは、環境の変化によって、特に生息域を奪われ、数を減らしている動物であることです。
 キツネも、ツキノワグマも、昔から普通にそこにいたはずの動物ですが、今ではほとんどお目にかかれません。
 私は、彼らがいつまでも、山の中にいて欲しいと思います。
23:12:00 | yo-ta | | TrackBacks