Archive for 17 July 2005

17 July

ふるさとの 訛りなつかし・・・いのは確かだけどさ(^^;)

【「鬼論文試験」対策中に、私が頂いた名(迷)言集 その8】

 「今すぐやれ!毎日徹夜してでもやれ!仕事サボってでもやれ!」

 1番目はいいとして、2番目は勘弁してください、死にます。3番目は・・・いいんですか?やりますよ?(爆)

 さて、本題です。
 今日も今日とて、またまた『論文』な一日でしたが、突然、実家の母親から携帯に電話がありました。

 毎回、どうでもいいような事で電話をかけてくるのは、どの家の母親でも同じ事だと思いますが、今日はなかなかすごかったです。

 「いまの〜、○○山の山頂にいるんやざ〜!剣も穂高も、きれいに見えてるんやわ〜」

 え〜、普段の私の週末の行動を見ていると、見事に血は争えないような報告でしたが(^^;)。
 このとき私は会社で『論文』中でして。
 携帯で2〜3言受け答えをしたわけですが、見事に「訛って」しまったようで、周囲から猛烈な指摘を受けました。

 それというのも、やはり福井弁のイントネーションがあまりにも独特なのが悪い!
 四国生活中には、その訛りもかなり抜けて、愛媛広島を中心に雑多で怪しい「西側」に染まっていた私ですが、関東生活が長くなるにつれて、その「付け刃」は見事になまくらになって、「ネイティブ」がかなり復活してきているのを意識せざるを得ません。

 で、福井弁のイントネーションは、はっきり言って、あまりに独特です。
 隣の石川県や滋賀県や岐阜県でも通じませんし、下手をすると、同じ県内でも隣町同士で通じない言い回しがあったりします(私の家系は山系統だが、海系統だった皆様には変な言葉だといわれた事が何回かあった ^^;)。

 そんなわけで、福井弁は他県出身者の皆様には、かなり強烈な言葉のようです。
 初めてこの言葉を耳にする皆様からは、あまりに日本語離れした(韓国語か?と言われたことがある)イントネーションが笑いのネタになってしまう事が多くあります。
 (しかし、大体の場合は「俺達の土地より田舎があるぞ!」ということで、嘲笑のネタにする人が多いですね。そんな事をしても、あなたの出身地が都会になるわけではあるまいに:嘲)

 まあ、とにかく、その福井弁というものがどんなものかは、単語レベルではこちらの「福井弁なんやざ」様を参照して頂けば、大体、その強烈さがおわかり頂けると思います。

 一方で、Webページの全てを福井弁化し、福井弁を標準語にしようという、熱い(?)情熱を持ったサイト様も存在していました。
 そこで、福井弁の捲土重来(私の本音:全県人口が世田谷区とドッコイな県に、そんな日は来ない:笑)のために、そのサイトをご紹介しましょう。

 ● ここは、福井弁のための部屋です
 →http://tack.fukui-med.ac.jp/cgi-bin/cgiwrap/shigeo/fukui/fukui3.cgi

 ここで様々なサイトの表記や、簡単な文章を福井弁に変換できます。
 例えば、昨日私が書いた、エピソード3の感想ですが。

 それにしても、この作品のオチは誰もが知っているとおりなので、伏線が命であって、それに触れられないのが辛い。
 色々ありましたが、最後はきれいにエピソード4、つまり旧三部作に繋がる終わり方でした。


 これを上のリンク先サイトで福井弁に翻訳した文章を見ると。

 ほやけどぉ、この作品のオチは知らン人もが知ってるとおりやでぇ、伏線が命であって、それに触れられンのが辛い。
 色々あったんやが、ケツっぺたはきれいにエピソード4、いちびっててもアカンてぇ、なんちゅうてもォを旧三部作に繋がる終わり方なンやったざぁ。


 という形になります。
 見事です。見事な変換です(特に、ケツっぺた・・・)。
 ここまで見事で強烈ならば、福井弁の捲土重来もあり得るかもしれないと考えさせられます。

 しかし、大きな問題がありまして。

 この変換後の文章、出身者でも意味、わかんねーよ!

 ていうか、発音して脳内補完しねーと、意味わかんねーって!

 もとより、方言の多くは会話言葉。文字にしたところで、意味がとりやすくなるわけがありません。
 それに、福井弁の恐ろしい所は、そのイントネーションの独特さ(※1)にあります。
 この特殊性は、他県出身者の皆様にはなかなか信じていただけませんが、とにかく、同音異義語を全く平板に発音しても、その場の雰囲気と文脈と会話のリズムから、見事に正確に意味が通じます。
 どんな言葉や、とツッコまれる事が多いですが、それが福井弁です(文句は言わせません)。
 だから、発音しないと意味がわからないという、構造的欠陥を持っているようです(^^;)。

 とにかく、その雰囲気が表現できなければ、福井弁化する意味がないっ!

 それにしても、上の翻訳文にある「いちびっててもアカンてぇ、なんちゅうてもォを」の部分は、出身者でも意味も発音も、言葉が出てくる脈絡も不明なんですが・・・(^^;)。
 いかん、福井弁の世界は、まだまだ奥が深いのか・・・。
 うら、じェんじェんあかんざァ!

 って、単に変換がおかしくなっているだけでしょうけどね(^^;)。
 (いや、マジで何故にそんな文脈になるか、意味がわからんし・・・)

 とりあえず、私としては福井弁の捲土重来のため、「じゃみじゃみ(※2)」を広める所からはじめますか・・・。
 「べとにばいちくりさしてこねくりまわす(※3)」は、どうにも市民権を得られそうにないので・・・。

(※1)
 よく、テレビではモー娘。の高橋愛ちゃん(福井県出身)の発音を、東北弁のイントネーションで真似する人が多いですが、東北弁と福井弁のイントネーションは、まるで違います。
 東北弁は、普通、尻上がりにアクセントがつきます。
 一方で、福井弁は全体に抑揚なく流れた後、尻上がりにアクセントがつくかと思いきや、最後の一文字の子音と母音の間の一瞬で、アクセントが下がってまた上がるという、超高速巻き舌発音が入ります(これはネイティブでないとできません。絶対)。

 また、東北弁は500年ほど前の都言葉のイントネーションを今に伝える、由緒正しい言葉といわれていますが、福井弁は成立由来が良くわからない部分が多いそうで、昔見た「アクセント辞典」というものでは、国内唯一の「アクセント崩壊圏」に分類されていました(爆)。
 おいこら、言語学者ども(笑)。

(※2)
 テレビ放送の空電などの、いわゆる砂嵐状態をこう言います。
 見たままを福井弁で音写しただけ、の言葉ですが、福井県民(あるいは福井出身者)には、とっても馴染み深いものです。
 ちなみに、福井県出身者の多くは、電波妨害の「ジャミング」を受けたレーダーなどの計器類がどうなるか、ほぼ感覚的に理解できると思います(「じゃみじゃみ ing」ってことで・・・)。

(※3)
「土(べと)に棒(ばい)を突き刺して(ちくりさして)かき混ぜる(こねくりまわす)」という意味。
 福井弁講座系のWebサイトでは、上級用例として出されることが多い言い回しです。
 ちなみに、「こねくりまわす」にある「〜くり」という言葉は、ある場合には「強調」の意味を持つことがあります(「けしからん」を強めて、「けしくりからん」など)。
 しかし、文中の「ちくりさす」の「〜くり」は、「ちくりさす」でひとつの言葉なので、大して意味はありません(ややこしいですか?)。

21:41:00 | yo-ta | | TrackBacks