Archive for 19 July 2005

19 July

セミの寿命は1週間?いいえ、成虫期だけでも約1ヶ月あります。

【「鬼論文試験」対策中に、私が頂いた名(迷)言集 その10】

 「何だ?お前の同期世代は、まだ誰も合格してないのか?第一号になるチャンスだな!」

 珍しく、普通に奮起させられた一言でした(笑)。
 それにしても・・・やっと(見切り発車気味の)合格点か・・・。

 では、本題です。
 昨日に続き、夏の昆虫、セミの話題です(ちなみに、本日やっとニイニイゼミの声を聞きました ^^;)。

 セミはカゲロウと並んではかない命の代名詞で、一週間の命、などとよく言われています。
 とりあえず、セミの仲間は、種および栄養状態にもよりますが、土の中で4〜8年ほどの幼虫期があるので、まずはこの段階で「寿命は一週間」という言葉は的外れです。
 まあしかし、それで終わらせては元も子もないので、百歩譲って、「一週間」というのは「成虫期」であるとして話を続けましょうか(^^;)。

 普通、昆虫の発生期や寿命などは、飼育観察によって知見が得られることがほとんどです。
 しかし、悪いことにセミは生きている木の樹液、しかもカブトムシたちのように傷口修復のためのシロップ状のそれを舐めるのではなく、樹幹を流れるサラサラの体液しか食さないため、飼育が非常に難しい種です。
 よって、これまでの飼育技術では、長くて一週間程度、「飼育」ではなく延命治療的に「生かせておく」のが限界だったため、「成虫期は一週間程度」という知見が広まってしまったようです。

 しかし、飼育技術なども発達した近年、生きている木そのものにネットをかけて、その中でセミを飼育した結果、羽化後、鳴き始める(繁殖に参加できるようになる)まで4〜7日の時間がかかり、その後は事故や病気さえなければ、1ヶ月近く生きている個体が多かったのだそうです。
 ということは、セミの成虫期は1ヶ月前後はあると考えるのが普通であり、この成虫期は昆虫の仲間ではそんなに短い方ではありません(むしろ普通。カブトムシだってその程度です)。

 もちろん、あれだけ目立つ声で鳴いている大型の昆虫ですから、天敵による捕食率なども高いと考えられ、自然界での平均寿命はもうちょっと短くなるかもしれませんが・・・。
 あとは、どんな昆虫でもそうですが、交尾をすると極端に体力を消耗し、その後は間もなく死を迎えます。それを考えると、自然界での成虫期は平均的に2週間程度と考えるのが普通ではないかと考えられます(これも昆虫界では普通のレベル)。

 と、いうわけで、セミは一般に知られているよりは、成虫期の長い昆虫だ、と考えた方が良いようですね・・・。

 同様に、一般に誤解されて広まっている昆虫の生態としては、「カマキリのメスが交尾の後、オスを食ってしまう」という物があります。
 あれは時代を遡れば、かのアンリ・ファーブルの「昆虫記」にもそういう記録があるため、一般論として成立してしまっているようです(中には、オスは頭部を破壊されないと生殖本能が発現しないとかいう、滅茶苦茶な暴論まであったりする。んなアホな)。
 しかし、こうした飼育観察によって生態を調査していた時には、狭いガラス容器の中でオスとメスをいつまでも一緒にしておくため、オスが交尾終了後にメスの攻撃圏内から逃げられず、単純な力の強弱の結果、オスは獰猛なメス(※)の餌食になってしまっているだけの話であることが、最近は盛んに指摘されています。

 では、自然な状態ではどうかというと、カマキリは交尾時にはオスは巧みに障害物を利用しながらメスに近付き、終わればまた障害物の中に消えてゆくため、共食いが発生する確率は10%程度でしかないそうです。
 これは他の肉食昆虫の共食い発生率と変わらない数字でしかなく、カマキリだけが共食い率が高いわけではありません(母集団数を多くしたら、もっと下がるかもしれない)。
 ただ、カマキリは昆虫の中では大型で、身近な環境に生息しているため、たった10%の確率で発生している共食いの姿が目立つ上に、「ファーブル昆虫記」による「オス食い」のイメージが浸透していることが、そんな誤った理解を広めた要因だと考えられます。

 それにしても、見事なまでの「筆の誤り」ですな、アンリ・ファーブル先師(^^;)。

 ちなみに、セミの仲間は不完全変態(卵→幼虫→成虫と、蛹の時期がない)です。たまに、「蛹になって」などと書いてある個人のWebサイトを見かけますが、ソレは全くの間違いです。
 また、セミを含む鳴く昆虫は、全ての種でオスもメスも、両方鳴くと思っている人がかなり居るのには驚かされます。
 多くの種ではオスしか鳴かないということは、昆虫少年だった私には、かなりガキの頃には既に知識として持っていたことだったんですが・・・。

 というわけで、世の中のお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん。
 子供には昆虫採集をさせるなど、生の体験から「自然」と「ヒト」の関わりを覚えさせるべきだと私は思います(実際、私の自然に関する知識は、全て実地体験がベースです)。
 夏休みには、そういう機会をできるだけ作ってあげてください。
 外国産種ばかり出てきて、変なバトルなんかやらかしてる「ムシキング」とかいうアニメか漫画程度では、歪んだ知識しかつきませんぞ?

 なお、本日のセミに関する記述の多くは、Webサイト『セミの家』様のFAQのコーナーを参考にさせていただきました。
 (無断リンク禁止のようですので、最後に謝辞を兼ねて、サイト名を記させて頂きました)

(※)
 カマキリのメスは、オスより体が大きい上に、力もオスよりかなり強いのが普通です。
 また、あれだけデカイ卵のうを産むためには相当のエネルギーが必要なため、自分と同じ程度のサイズのものが目の前で動くと、それが何であれ、餌ととらえる習性があります(昆虫なのに、本来は天敵のカエルやトカゲを食っていることもあるくらいです・・・)。
 そんなモノと一緒に、密閉された狭い容器に長時間、閉じ込められたんじゃ、オスが可愛そう過ぎです(全く動かずに居れる訳がないだろっ!)。

22:33:00 | yo-ta | | TrackBacks

SONY、デジタル一眼市場参入に、その手で来たか・・・。

 デジタル一眼レフの市場に、ついにSONYが参入してくることになりました。
 ただし、かなりの変化球を投げてきた感じです。

 コニカミノルタフォトイメージング株式会社とソニー株式会社 レンズ交換式デジタル一眼レフカメラの共同開発で合意
 (SONYのプレスリリースに飛びます)

 一時期は、SONYは京セラのカメラ事業完全撤退に伴い、(カールツァイスを意識して)CONTAXブランドを買い取るのではないか、という見方もあったようですが、どうやらその線は今の所、ないようです。

 今回の発表を見る限りでは、カメラのオートフォーカスや露出制御などのメカニカルな部分の開発は、コニカミノルタが担当。
 デジタルデバイスであるCCDやCMOSなどの撮像素子の開発や、(お得意の)小型軽量化路線の設計などはSONYが担当し、両者の得意分野を活かした形でデジタル一眼レフカメラを共同開発してゆく、という事らしいです。

 最近、コンパクトデジカメでは少し勢いが減退気味のSONYが、一眼レフ市場参入のために打ち出してきた戦略は、「互いの得意分野のノウハウを活かせる相手と手を組む」ということだったようです。
 まあ、考えてみると、ある意味合理的な線に落ち着いたような気もします。

 同じように、技術提携をもってデジタル一眼レフカメラの開発を行っているメーカーとしては、オリンパスと松下電器の「フォーサーズ」ブランドがあります。
 こちらの場合、オリンパスも松下電器も、技術提携という形はあっても、それぞれ独自のカメラボディ開発を行う形のようですから、共同開発というよりは競合関係を持っている形になるでしょうか?
 (少なくとも、コニカミノルタ&SONY連合とはちょっと違う形になる感じがしますね)

 それにしても、オリンパス&松下電器組もコニカミノルタ&SONY組も、主義主張も経営理念も組織体制も全然違う企業同士の連合ですから、空中分解しないように制御することが課題になりそうですね・・・。

 ちなみに、このあたりに本件(コニカミノルタ&SONY提携)に関する解説があったりします。

22:32:00 | yo-ta | | TrackBacks