Archive for 14 January 2006

14 January

ミリタリーな話題で(^^;)。防衛庁 次期F-X内定(?)で、不安点が。

 何でか最近時々、国籍表示がNL(ネーデルランド、つまりオランダ)の通販情報検索サイトのIPから、大量アクセスがあります。
 別に海外の方であろうが、普通に閲覧いただくだけなら別に問題ないのですが、1日で数十〜百件Overを短時間に・・・となると、ちょっと問題です。

 とりあえず、あまり酷い繰り返し参照があった時は、そのIPは「閉じて」いますが、あんまり意味がないみたいで、1〜2ヶ月すると、また新たなIPで飛んできます。
 ウチでは通販情報なんて、全然出してないっつーのに、何で?
 もしかして、これがリファラアタック?

 では本題です。
 今日は、ウチのネタの中では特に多くの皆様が途中で読むのを挫折する(しかも無駄に長い ^^;)という、ミリタリーネタです(^^;)。

 こういう、濃ゆ〜い話を書くと、あとあと、いろんなヒトが来て大変になる場合もありますが・・・(^^;)。
 日本の場合、誰も興味を持たないままに全てが決まると、ろくな事がないので、あえて書いておきましょう。

 防衛庁で実施中の、次期F-X計画(新型戦闘機購入機種選定)について、最近、大筋で購入機種が決定した、という未確認情報が流れるようになっています。

 そういえば最近、韓国が購入し、最初のロットの引渡しが終了したF-15Eストライクイーグル戦闘機の韓国版、F-15Kスラムイーグル(Slam Eagle:「Slam」は俗語の「全面制覇(グランドスラムのslam)」という意味を込めて、韓国側でつけた愛称)には、F-15E型のコア機能とも言うべき爆撃支援システム、「精密映像位置提供地形情報」(DPPDB)がインストールされていなかったそうです。

 日本のF-15J(制空戦闘機)と違ってF-15Kは戦闘爆撃機なので、精密爆撃が出来ないのは運用上、大きな問題を抱えることになりそうです(実際、爆撃誤差が1mから10mに広がってしまうらしく、敵の中枢施設を爆撃したつもりが、隣の物置小屋を破壊していた、という結果になる可能性も考えられます)。
 これは、高性能なパソコンは買ったけど、OSしかインストールされていない、という状況に等しく、現状で運用したとしても、性能をフル活用するには程遠い状態にあります。
 もちろん、韓国政府は「DPPDBも載せてくれ!」とアメリカ政府に打診したそうですが、「武器輸出法」に抵触するということで、弾かれたそうです。

 それにしても、毎度ながら「やってくれた」としか言いようがありません。>アメさん。
 自国の脅威と利益を天秤にかけ、兵器を売る時には平気(シャレにあらず)でダウングレード版を押し付け、アップグレードライセンス料を後々までガッポリと稼ぐ、というあざとい商売を、ここでもやってくれたようです。

 以前、アメさんは台湾でそれ(旧型機であるF-20型や、F-16のダウングレード型輸出)をやろうとしましたが、不満に思った台湾は「自力で」ジェット戦闘機を開発してしまった、という事もありました(それが「経国」型。これが「簡単にオマエの言いなりにはならん!」という強烈な意思表示になり、後にアメリカも折れて、F-16 Block20型の輸出を許可した。台湾、凄いな・・・)。
 まあそれでもコメさんが「仲間になるなら売るけど、敵対するなら売らん」という明確な基準を持っているのは、後先考えずに売りまくる、関西商人もビックリな武器商人国のフランスより、何倍もマシですが・・・(軍部が幅を利かせたヤバい国にまで売るからなあ・・・)。

 ちなみに、日本もその昔、F-15をコメさんから購入した時には、電子装備の一部がない状態で届けられました。
 まあ、その当時はF-15を持つ、というだけで物凄いアドバンテージがあった上に、その後、ライセンス生産がはじまると、国産の電子装備を積み込んで、(模擬戦レベルでは)コメさんのF-15C/E(空戦)と同等の働きをする機体に仕上がった上に、現在も長期運用を見据えて近代化改修(電子機器類などの強化)が進行中のため、特に大きな問題にはなっていません。
 しかし、近代の、同じボディでも電子頭脳の違いが別格の性能を持つ機体になる世界では、F-15KがF-15E(アメリカ本国型)に比較して、ソフトウェアに制限を喰らうのは大きな痛手になるのは間違いありません。

 というながーい前振りはそこまでにして!
 このF-15Kの話を、対岸の火事と見てはいけないのが日本の防衛庁&自衛隊です。

 どうやら次期F-Xは、マニア間では『高すぎるアレ』の一言で通る『アレ』(F/A-22)に内定(仮契約)したような情報が流れていました(内外の反応と動きを探る観測気球情報?)が、もし本当に『アレ』を買うのであれば・・・。

 もともとが軍事機密の塊のような機体(ステルス戦闘機だもんね・・・)なのに、コメさんがまともにフルセットを売ってくれるはずがない、と思いますが、どうでしょう?
 (模擬戦レベルとはいえ、米空軍のF-15相手に100戦100勝という下馬評があるほどのバケモノ。こいつを持つだけで、コメさんにとって、日本という国がとてつもない軍事的脅威になっちゃうもんなぁ・・・)

 それに、ボディだけで頭脳がカラッポの『アレ』を買っても、何の役にも立たないのは目に見えています。
 あわせて、運用に欠かせないソフトウェア類、兵器運用のノウハウをはじめ、人の限界を超えるという加速・遠心力のG(マジで、これ以上は人の内臓が潰れるというレベルらしい)からパイロットを守る装置が同時についていなければ、ただ単に、レーダーで見づらい空飛ぶヒラメです。

 また、足りないモノはライセンス生産時に色々追加したり改修して補う・・・といっても、その前にライセンス生産が許可されない可能性が高いですし・・・(近代兵器は、鋳型を真似して形を作ればコピー終了、という単純なものではないため、ライセンス生産のためには技術情報の開示が前提になる。つまり、コメさんの軍事機密が日本に漏れる)。
 しかも、もともとが『高すぎる』機体な訳ですから、日本側で色々改修していると、材料費や製造コストその他もろもろがリバウンドして、調達価格は下手をすれば、素直に購入する額の数倍にまで跳ね上がりかねません(コメさんが購入した場合でも1機200億円だから、その数倍・・・って、そんな金、出せん!>納税者の声)。

 とはいえ、『アレ』を保有すれば、東アジア圏において、日本は(空の戦力では)一躍、パワーバランスで優位に立てる、という所が悩ましいわけで・・・。
 小泉政権になってから親米政策が続いているのも、この辺の(韓国の動きも踏まえた)きな臭い背景が理由という気がしないでもないですね・・・。

 そういえば、F-15Kの運用に関しては、対岸の火事で済まされない情報がまだありました。
 F-15E型のイーグルは、F-15Kの生産終了とともに、内部向けのパーツ生産を除き、ボーイング社の製造ラインがほぼ完全に閉じられる予定だそうです(一番の客であるコメさんが、既にJSF計画などに軸足を移しており、今後、対外的な供与国もなさそうなため)。
 そうなると、国内でライセンス生産ができない韓国では、F-15のパーツ入手がとても困難になることが目に見えています(最悪、他のF-15保有国から中古の機体やパーツを買って調達する必要がある。日本はライセンス生産しているので、今後もある程度、安定調達が可能)。

 まあしかし、シンガポールが同じF-15Eの派生型であるF-15SGの導入を決めたので、多少は機体生産ラインの存続も、見込みがあるかもしれません。
 ただ、シンガポール軍は今のところ、12機だけしか導入予定がない、という条件なので、早晩、生産ラインが閉じるのは間違いなさそうなんですが・・・。
 (というわけで、現在、ボーイング社は、F-5E/FタイガーIIの後継機F-Xを控えた韓国に、F-15Kの追加契約を売り込み中らしい)

 ですから、頼むから防衛庁。
 『高すぎるアレ』を本当に買う気なら、ライセンス生産率を8割以上確保で頼むっ!

 修理・維持・管理(パーツ確保)のスケジュールさえ、コメさんの都合でいいように振り回されるのは、たまったものではありません(つーか、どんだけ高価になるかもわからんし ^^;)。
 それができないなら、F-15Jの一部を、近々代化改修でF-15EJで対応よろしく〜>納税者の叫び。
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20:33:00 | yo-ta | | TrackBacks