Archive for 16 February 2006

16 February

神戸空港、本日開港・・・ですが、喜んで良いのかどうか。

 LISMOのポスターを見た同僚が、「本当のリスは、こんなに短足じゃないよな?」と、些細なことにツッコんだ件について。

 「お前は俺か!」

 という自爆ツッコミ以外、思いつかなかった私です・・・。

 では本題です。

 本日、神戸空港が開港し、関西圏には伊丹、関空、神戸の3大空港が揃い踏みの体勢となったようですね。
 ですが、私はこの件は、あまり好意的には見ていません。

 関西圏には、既に伊丹、関空という巨大空港があるのは皆様ご存知のとおりで、その空路の設定によって、大阪湾上空はものすごいことになっています。
 各航路は文字どおり「網の目」のように入り組んでいて、少しのズレさえニアミスになるような状態な上に、過去には伊丹・関空の管制官が時々、食い違った指令を飛ばしてくることがあったので、「どっちで飛べばいいんだゴラー!!」という怒声が飛び交った事もあるとかないとかいう噂があったり・・・。

 とにかく、現段階で首都圏上空以上に空の上が過密な場所に、さらに大都市間連絡便の発着が目的の空港を作ったというのですから・・・どうやって交通整理するんだよ?>管制官。
 (ちなみに、神戸空港開港後は航路の複雑化の問題がさらに深刻化すると考えられたので、これからの関西圏上空は3空港協同管制という無茶苦茶な運用形態が採られるらしい・・・。大丈夫かよ・・・?)

 ちなみに、国際的な観点から見て、いわゆる先進国の中では日本の航空管制は「能力、低すぎ」という評価が一般的だそうです。
 成田空港とほぼ同じ規模の、ロンドンのヒースロー空港などは、天候トラブルで離陸予定機が数十機滞留していても、管制が動き始めれば、あれよあれよという間に飛行機が離発着をはじめ、極めて短時間でダイヤが正常に復するそうですが、成田であれば、ボーディングの表示に「遅延」や「欠航」の文字が終日並ぶのは、皆さんご存知のとおりです。
 (もちろん、上のような状況の場合、ヒースロー空港では少しでも時間を短縮するため、パイロット達に「全機、今から言う指示通り飛べ。指示は一回しか言わないが、聞き逃してもそっちの落ち度であって、確認・質問は一切許さないから、良く聞け」という厳しい御達しが出るという、パイロット泣かせな側面があるそうですが・・・)

 そんな状況ですから、こんな狭いエリアに近接している3つの大型空港から、次々と航空機が飛び上がったり、舞い降りたりするという状況を、日本の管制技量でうまく裁ききれるのか。
 また、各管制から矢継早に飛んでくる指示に、パイロットや機体の電子航法機器類も対応できるのか。

 こういうバックグラウンドを考えたら・・・一つ間違えば、数百人単位の人命がまとめて危険に晒される可能性がさらに高くなったわけですから、「現状で関西圏に3つも巨大空港は要らないでしょ?」というのが私の考えですが、どうでしょう?

 それでも、どうしても神戸空港を開港させる、というなら、現在の関空の機能を全部、神戸に移してしまえばいいと私は思います。
 関空は、そこに行くまでが物凄く大変な空港である事は、関西圏の皆様ならよくおわかりかと思います(24時間運用といっても、夜間は事実上、隔絶された"離島"だし)。
 しかし、神戸だったら地元兵庫は言うまでもなく、京都からも大阪からも岡山からも、果ては中国四国の各県からも、高速道路、JR、私鉄、そして瀬戸内の連絡船網を使ったアプローチが容易であるという、利用者から見てとても便利な空港になるはずです。
 (伊丹の離発着便との、低空でのクリアランスをどうするかという問題があるけど、少なくとも3港同時運用より問題は簡単だ)

 また、関空は世界中の航空会社からも、とてつもなく評判の悪い空港だそうですから、機能を神戸に移せば、利用者だけでなく、航空会社からも喜ばれる筈です。

 現状、関空はとにかく何から何まで、航空運賃を無駄に引き上げようとしているとしか思えない運用状態(※)であるため、航空各社からは、積極的に関空に機体を飛ばす理由を(不完全だけど、24時間離発着できる、という事以外に)見出せていないようです。
 ですから、24時間運用を含め、関空の機能を全て神戸に移す案は、ほとんど反対もなく、すんなり通ると思いますよ?

 で、空いた関空は航空自衛隊の基地にして、現在F-X計画で購入を検討している新機体を充てた新設航空団を配置すれば、イマイチ防空が手薄な近畿圏をきれいにカバーできるようになる、という利点が転がり込んできたりします。
 んで、訓練空域を太平洋上にとれば、自衛隊機は主に南に向かって飛ぶので、旅客機とのクリアランスが十分取れますし、イーグルの爆音も、あれだけ市街地から遠ければマシになるでしょうから、良いことだらけではないかと。

 というわけで、こういう案って、どうでしょ?駄目?

(※)
 国内線の航空運賃が高い理由として、「パイロットの人件費が高いんだ」とよくやり玉に挙げられますが、実際には飛行機の燃料代と、空港使用量という訳のわからん価格設定のカネ(飛行機1機が1回着地しただけで数十万が課せられ、1時間、駐機場に置くだけで、更に数十万がかかるらしい)がほとんどだと言われています(どーゆー商売だ?>空港)。
 関空のような人工島は、陸上空港と比較して空港使用料が高い上に、駐機料その他も全体的に高価に設定されているそうです。
 また、色々理由があるとはいえ、大阪などの大都市上空を低空で飛ぶ事が許されないため、離着陸時に上空をグルグル旋回させられ、燃料を無駄に使わされる(その分、また運賃が上乗せになる)という難点もあるそうですから、こんな空港は使いたくないと思う航空会社が多くて当然でしょうね・・・。
 (それ以前に、日本の空港の使用料自体が、世界的に見て高すぎだったりするわけだが、そこは誰も指摘しないのが不思議・・・)

22:58:00 | yo-ta | | TrackBacks