Archive for 18 May 2006

18 May

私が山に登るときに気をつけていること Part 4

 昨日紹介した成分解析というジョークウェアには、一般の(?)成分解析以外にも特殊な成分解析が存在します。
 例えば、私の妖怪成分解析の結果は・・・。

妖怪成分解析によるYO-TAの解析結果

 YO-TAの83%は飯食わぬ嫁さんで出来ています
 YO-TAの11%はべとべとさんで出来ています
 YO-TAの2%はビビビのねずみ男で出来ています
 YO-TAの2%は猫娘で出来ています
 YO-TAの2%は妖怪アンテナで出来ています

 えーと、私は8割以上クリオネの変異型注1)の妖怪で、約1割ほどストーカーの資質注2)があって、わずかに類は友を呼ぶセンサーを装備しているような感じになるらしいです(なお、3番目と4番目は対消滅しているため、考察には含みませんでした)。

注1):飯食わぬ嫁さん
 頭が割れて大口になる妖怪。確か、主人の留守中、頭の大口に大量のご飯をバカスカ放り込んでいる、という話があった。
 クリオネは餌を捕食時、頭部(に見える部位)がバカッと開いて触手がにゅる〜んと伸びるのは有名ですね。
注2):べとべとさん
 雨の夜、山道を歩いていたら後ろについてくるという妖怪。「お先におこし(お先にどうぞ)」というと消えるらしい(何をしたいんだ?)。


 以上、今日のアホ話(というコーナーだったのか?)でした。

 では本題です。
 今までは計画だの装備だの食料だのの話をしてきましたが、今日は歩行中に注意していることについて少し書きましょう。

 まあしかし、歩いている間に考える事って、ほぼ90%以上、「こけない」「滑らない」「変なの踏まない」の三つだけなんですけどね(^^;)。
 しかし、それ以外で注意していることや考えている事について、毎度の如く、ダラダラっと書いていきましょう。

顔を上げて、10mほど先を見る。
 これは、意識してそうするようにしています。
 急登続きでしんどい時でも、2〜3歩に一回は顔を上げて先の方を見て、少しでも起伏が少ない場所に進路を微修正しつつ歩いています。

 また、人の歩いた踏み跡は、特に秋の落葉期には、至近距離では落ち葉に埋もれて判別が難しくなる場所もありますが、そういう時も自分の立ち位置から少し先を見通したら、周囲と比較すると、明らかに不自然に落ち葉が潰れた筋がついているのが見えたりするものです。

 あとは立木に括りつけられた手製の小さな標識や赤テープなどは、足下だけ見て歩いていると、ほとんど目に入ってきません。
 ゆえに、ある時気がついたら全然違う場所に出ていた、なんて事にもなりかねないので、意識的に周囲を広く見るようにしながら歩くようにしています。

時々振り返る。
 これも、登りの途中で、意識してそうするようにしています。

 特に初めて登りに使うルートを辿る時は、今来た道を確かめるとともに、樹間から周辺の山や稜線の位置を透かし見て、その位置関係から現在地が正しいルート上にあるかアタリをつけるため、小休止の時などに意識的に振り返るようにしています(もちろん、コンパスと地図も使いますけどね)。
 また、急登続きの時は、周辺の山や稜線が自分の目線のどの位置に来ているかで、「こんなに高く登ったぞ!」という実感が湧いて、先を行く上で励みになったりします(まだこれだけかい!という落胆の材料にもなるのだが ^^;)。

足は、なるべく水平に置く
 これも意識しながらやっています。

 急な斜面での登り(特に舗装道路)では、強制的に爪先が上を向かされ、ふくらはぎや脛周りの筋肉に、まず平野ではかからないような負荷がかかり、余計な筋肉疲労が貯まって足腰がガクガクになる事があります。
 これを避けるため、爪先立ちになって、足首の角度を90度にキープして登るなどの荒業を披露している皆様もいますが、余程足腰の強さに自信がない限り、こんな事は避けたほうが良いでしょう(第一、接地面が狭いから、コケ易い)。

 とにかくこういう時は、私は登山道の内側をジグザグに歩いたり、斜面から突き出す岩角や木の根を利用して、とにかく可能な限り足を水平に置ける場所を狙って歩を進めていくようにしています。

 そういえば、登山道の中でもっとも歩きにくいのは、例の丸太組みの階段が延々続く道だったりします(^^;)。
 アレは歩幅、高さともに非常に微妙で、しかも自分のペースを守らせてくれない(高さは普通の階段の1.5〜2倍あり、奥行きは一歩に余って二歩に足りないという、絶妙な人間工学無視構造になっている)場合が多いので、目の前にどど〜ん、という規模で出てきたら、「帰ろうかな・・・」と思うこともあったりします。

 まあ、ああいう階段は雨水による登山道からの土砂の流出防止のために設置されているのであり、ああいう物がつけられるのは、人が入り過ぎている、いわゆるオーバーユース状態にあるのが原因である、というのは普通のハイカーの皆様ならご存知のことと思われます。
 つまり、登山者&ハイカーが入りすぎている事も、あんなものが作られる原因のひとつなんだ、という事は理解しているわけですが、それにしたって、もうちっと設置方法を考えて欲しいな、と思います。

 あ、それからさらに、階段の足を置く面に、土砂流出防止のプラのネットを敷いてあるところもありますが、あれ、濡れると滅茶苦茶滑るんですが・・・。
 特に、下りでそんな階段に行き当たった時は、一歩ごとにズルズル滑るので、恐怖を感じる時もあるんですけどね・・・(実は、オーバーユースを防ぐための、ヒト除けの嫌がらせとか?)。

アウト−アウト−アウト
 なんじゃこれ?と思われたかもしれませんが、これは林道や舗装された道路など、車の通行を考慮した道のカーブを歩く時のラインのとり方です。

 「ん?それなら『アウト−イン−アウト』の方が、通過距離が短くなっていいんじゃないか?」と思われる方も多いかもしれませんが、車の通行を考えた道では、カーブのアウト側は斜度の変化が少ない反面、イン側は斜度が大きくなり、歩行者は登るも下るも余計な疲労を強いられます(そら、短距離で同じ高さまで登るんだから、勾配が急になるのは当然だよね・・・)。

 それに、林道や山間の道のカーブ部分は、特にヘアピンカーブの場合、アウト側には大型車の大回り用に広く道幅がとられている反面、イン側は余裕が少なく、車が極端に内側に切り込んで来る上に、ブラインドカーブになっていると、ドライバー側からみて歩行者は突然、目の前に現れるため、対応しきれずに巻き込まれたりする可能性もあります。
 そして、林道上で自動車との接触事故で重篤な負傷・・・だが、目撃者が誰もいない・・・となると、そのままドライバーに逃げられる可能性は否定できず、とても悲惨な事になりかねません。

 よって、私は十分に道幅がとられているとともに、勾配も緩いアウト側をテクテクと歩く事にしています(これなら、余程マヌケなドライバーでもない限り、早い段階でこちらの姿を確認してもらえるしね)。

すれ違う時は、斜面側に避ける。
 登山道は大体、人間一人が立てば道幅いっぱいになってしまうほど細いため、すれ違う時はお互いに譲り合い、できるだけスムーズに通過できるように心掛けないといけません。

 一応、すれ違いは登り優先、下りは脇に避けて通過を待つことが、山の暗黙の了解とされていますが、私が登りの皆様とすれ違うのは、下山を開始した直後の山頂周辺だけで、あとはごくまれに、避難小屋宿泊組や幕営組とすれ違うくらいです。

 で、このすれ違いのときですが、脇に避ける場合は必ず斜面側、できれば立木につかまって安定できるような場所を選ぶようにしています。
 ある意味当たり前ですが、路肩側に立つのは、いつそこが崩れるかわからず、潜在的に危険が伴うためです。

 また、道の脇に避けるときは、必ず体の正面を登山道側に向け、ザックは斜面側に突き出すようにします。これは、自分(体)は道をあけたつもりが、ザックが思い切り登山道を塞いでいる、というマヌケな事態を避けるためです。
 あまり意識しない(まあ、自分で見えてないから当たり前)ですが、登山用のザックは意外に大きく、背中側にヒト1人分くらいの空間を余裕で占有してしまいますから、登山道側に突き出されると、立派な障害物です。
 自分が身に着けている装具の占有空間が道に被らないように、十分注意しておく必要があると思います。

 なお、時々、道を譲ると「急いで通らなきゃ!」とでも思うのか、歩調を速める方がいらっしゃるので、そういう(ある意味で真面目で優しい)人に気を使わせないように、ボトルホルダーからペットボトルを取り出し、休憩です、というポーズを取る時もあります(さすがにそういう体勢になると、歩調を早める人はいないので)。

「ヘタすりゃ死ぬな」
 嘘や冗談のレベルでなく考える事だったりします(しかも結構頻繁に ^^;)。
 特に、崖沿いや痩せた尾根上の登山道や、崩落の激しい斜面を行く登山道を通る時には、自分自身に注意を促すためにも、「ここでヘマ打ったら死ぬな」とつぶやいてから足を進めるようにしています。

 何しろ、登山道を歩くという行動自体が、日常を外れ、文明の庇護が及ばない場所に踏み出す事を表しています。
 そして、ヒトという生物は、自分達が作った巣の集合体(=文明)の中でなら、そこそこの生残性を発揮できますが、そこから外に出たら、この生物のサバイバビリティは呆れるほど低く、切り立った崖沿いの道で足を滑らせて滑落したり、雨具を着ずに一日中、雨に打たれ続けるだけで、簡単に死にます。

 ちなみに、奥多摩の山々は、さすがに都心部が近くて訪れる人が多い上に、ハイキング自体が奥多摩の観光産業として大事にされているため、道標の整備具合や登山道の整備度合いは、他県の低山地帯と比較して、格段に恵まれている地域だと思われます。
 だからといって、山の中が完全に安全だなどと考えるのは間違いです。

 年間、10人程度の人がこの山域で事故などにより命を落としており、いつ自分の名前がその中に加えられてもおかしくない、つまり、身近に「死」があることを意識しておかないと、そのうち取り返しのつかないことになりそうな気がします(意識していても避けられない、ということもあるかもしれませんしね)。
23:52:00 | yo-ta | | TrackBacks