ブレーキなし。大問題。

　この4月から、ツーキニストになった皆様。
　あるいは、この春から車道ライダー（発音すると、影の運転手っぽくなるなぁ ^^;）としてデビューした皆様にお願い。

　あの・・・車道なら車道、歩道なら歩道、と、ポリシーもって走って下さい(--;)。

　とにかく怖いのが、車道と歩道を行ったり来たりして、どっちを走るのか全然わからない、という人が前にいる時です。
　加えて、多くの人は、慣れないうちは歩道から車道に出る時、後方確認せずに飛び出してくるので、私のような車道ライダーはもちろん、原付、バイク、車それぞれが急ブレーキをかけないといけない、という危険な状態にもなったりします。

　車道を走る場合も、ポリシーを持って堂々としていれば、ドライバーの皆様はそれなりに対処して下さいます（本当に、ありがとうございます）。
　交差点など、交通量もスピードもコロコロ変わる場所で危険だと思えば、（歩道通行可であれば）堂々と歩道を徐行すれば良いのですから、まずは一般走行区間で「行ったり来たり」をやめる所からはじめましょう！
　（まあ、私も最初に車道を走った時はホントに怖かったので、行ったり来たりしたくなる気持ちもわかりますけどね）

　では本題です。
　4/2日付けのネタで、ナイキ製のグローブを紹介しましたが、その一週間後に、自転車乗りの間ではこんな騒ぎが起きていました。

　ナイキの「ブレーキなし。問題なし。」を考える。

　えーと、リンク先はスポーツメーカー、「ナイキ」が渋谷某所に出した巨大な壁面広告に対する問題を提起したものです。

　広告の内容はリンク先画像で確認いただくとして、ちょっと解説しますと、この広告で若者たちが乗っている自転車は、「ピスト」という、競輪場のようなバンクコースで高速走行するための、極めて特殊な用途の自転車です。
　どれだけ特殊かというと、車輪が空転しない仕組み（漕いだ力を100%駆動部に伝える構造）のため、走行中は強制的にペダルが回され続けるとともに、ロードレーサーではトップギアに相当するクソ重いギアが一枚しかついていない。
　さらには、レース中は超高速で走る＆足を止められないことから、急制動が危険すぎる（ライダーが前方に吹っ飛ばされる）ため、ブレーキが装着されていない、という程に特殊です。

　では止まる時はどうするかというと、足を踏ん張って、ペダルの回転とは逆の力を加える！のが基本ですが、それでは全然止まらないので、最後の最後は手で前輪を掴んで止める！同時に後輪には靴の裏を押し付ける！という、激痛度最強な力技に頼ることになります（スポークに指が巻き込まれ、切断された事例もあるらしい・・・）。
　しかし、普通に考えて、道路を走る上で良くある突発的な危険、つまり子供の飛び出しなどの、「あっ！」という瞬間に止まれるはずもないのは、皆様ご想像の通りで、プロの競輪選手でも急停車は無理なため、公道で練習する時はブレーキを装着するのが当たり前の車体です。

　まあ、もともと競輪場のような特殊な場所で行われるレースでの使用を目的に作られている自転車ですから、公道で求められる安全制動性能を多少無視した構造でも、競輪場内で使用する限りにおいては問題はありません。
　しかし、最近、自転車乗りの間では、ファッション感覚でこういう特殊すぎる自転車を公道で乗る若者が増えていることを危惧する声も強くなってきているようです。

　そんな時に、「ブレーキなし。問題なし。」という、そもそも何の意図かが全く不明なコピーとともに掲載された広告ですが・・・。

道路交通法　第六十三条の九
（自転車の制動装置等）
　自転車の運転者は、内閣府令で定める基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車を運転してはならない。

道路交通法施行規則（総理府令）
（制動装置）第九条の三
　法第六十三条の九第一項の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
　一　前車輪及び後車輪を制動すること。
　二　乾燥した平たんな舗装路面において、制動初速度が十キロメートル毎時のとき、制動装置の操作を開始した場所から三メートル以内の距離で円滑に自転車を停止させる性能を有すること。

　・・・つまり、ブレーキなしって大問題ぢゃん(-"-;)。

　道路交通法の定めを見れば、「ブレーキなしの自転車で公道上を走るのは違反行為」って事だから、この広告は道路交通法違反教唆と受け取られても「問題なし。」ですよね。

　って、私がナイキ製品ユーザーであることを公言した直後に、何やらかしてくれんだよ・・・orz。

　・・・まあ、坊主はにくくても袈裟には罪がありませんし、それなりに高かった(^^;)製品ですから、使い続けると思いますけど＞指切りグラブ。
　でも、次に買い換える時は、他社製品で決定かな（キッパリ）。

　ちなみにこの公告、4/9日に掲載されたものの、物凄い数の抗議＆Web上での大炎上を経て、10日深夜には撤去されたそうです（そりゃ、そうなるでしょ）。