Archive for 09 October 2005

09 October

エベレスト、本当は3.7m低かった?

 昨年、日本の剣岳の標高が、2,999mと、3,000mにごくわずか届かなかった、というニュースがありました。
 今年は、何と世界最高峰のエベレストが、3.7m低かった、というニュースが飛び込んできたようです。

 「エベレスト、3.7m低かった」中国が測定結果を発表(asahi.com)

 まあ、低かったといっても、9,000mに届きそうな標高(8848.1m→8844.4m)ですから、それがどうした、というのが私の本音です(^^;)。

 実際、その標高がどんな物かというと、ヘリコプターは大気が薄くて性能を発揮できず、その高度まで上がれない。
 何の訓練も受けていない人間が、平野部からいきなりその高度と同じ気温、気圧の所に放り出されたら、数十秒で意識が混濁し、数分で昏倒。そのまま放置すれば、数時間以内に死ぬ、という、そんな場所です。
 訓練を積んだ登山家でも、8,000mを超えた高さは「死の領域」と呼び、「そこにいるだけで、寝ていてさえも体力を消耗し続ける場所」として恐れています。

 ま、つまり、3.7m程度低くても、あの山の激しさと厳しさは、一向に変わらないというわけですね。

 ちなみに、エベレストの登山道(南側、ネパールからサウスコルを抜けるルート)沿いには、人の死体がゴロゴロ転がっているそうです。
 (それはつまり、過酷な高山環境に適応できずに死んだ登山家や、シェルパ達が、それだけ沢山いるという事です)

 あと、日本ではエベレストの正式名称は「チョモランマだ!」とする向きが多いですが、それは以前、日本テレビの登山隊が広めた「誤り」です。

 「チョモランマ」というのは、日テレ隊がベースキャンプを構えた、チベット奥地での現地呼称です。
 ネパール側のシェルパ族(エベレストをはじめ、ヒマラヤ登山のポーターやガイドとして有名な少数民族)は、この山を「サガルマータ」と呼んでいます。
 それ以外にも、山域に住む少数民族にそれぞれの呼称があるため、どれが正式かなんて、外部の人間が決められる物ではありません。

 で、シェルパ族はじめ、少数民族のほとんどで、対外的に使っているこの山の呼称は、「エベレスト」です。
 まあつまり、エベレストの世界的に通用する正式名称は、結局「エベレスト」なのです。
 正式呼称はチョモランマだ、などと、ネパールのトレッキングツアー中に、しったかぶって現地人に話すと、恥をかきます(マジでね)。

 なお、日テレ隊が、ネパール側でなく、チベット側にベースキャンプを構えたのは、登山税がかからないから、なんでしょうね、多分(一人頭、300万円。5人登れば、それだけで1,500万円かかるからね)。
 で、チベット側の呼称を、「正式名称」として広めてしまったと・・・(ありがちなパターンだが、それを修正しないのが読売系らしい・・・)。
22:01:37 | yo-ta | | TrackBacks