Archive for November 2005

09 November

入間航空祭の撮影機体から。Part 5(最終回)


三菱F-1支援戦闘機 退役直前記念塗装
F-1 支援戦闘機
本年度内に全機が退役予定の機体。
国産の練習機であるT-2を攻撃機に改修した機体。
右側は、現役最終年メモリアル塗装部分のアップ。


 タンクにある「Final year」の文字が示すとおり、今年限りで全機の完全退役が決定しており、来年以降には博物館やスクラップヤード以外では姿を見れない機体です(既に永久保存用の個体が、入間基地に"入内"している)。
 もともとは超音速飛行訓練用(以前は超音速飛行に特別なスキルが必要と考えられていた)の練習機であったT-2型を、対空・対地・対艦攻撃が可能な形に改修したものです。
 開発元が三菱重工だったこともあって、ロールアウトした直後には海外から「ゼロからイチへ」などと揶揄されたりもしていました(三菱製戦闘機といえば、海外では零戦が真っ先に思い出されるらしい)。

 機体形状は、とにかく音速突破だけを考えたような感じで、縦長の胴体に小さな主翼しかついておらず、おかげで旋回性能は他の戦闘機に比べて劣ります。
 また、同じエンジンを使用している英仏共同開発の攻撃機、ジャギュア型に瓜二つだったため、やはり海外からは「ニホンジンのサルマネ戦闘機」とまで言われたそうです。
 まあ、確かに、同じ素性のエンジンを用いて、同じ速度&運動要求を満たすには、ほぼ同様の空力特性が必要であり、そのために機体形状は似たものになる、という理屈はわからないでもないです。
 しかし、隣に並べても同じにしか見えないほどそっくりというのは・・・オリジナリティがないといわれても、文句は言えないでしょうね・・・(悪いことに、ジャギュアの方が開発着手も実用化も早かったしなァ・・・)。

 それにしても、このF-1。
 あまり「曲がれない」機体なのに、対空・対地・対艦戦闘用という、無茶苦茶な運用をされていたわけで・・・(本当はそういう役割は、F-16みたいな軽快な機体が担うものなんですけどね ^^;)。
 そんなわけで、いざ、有事となった場合、ちゃんと任を果たせたかどうか、私は結構、疑問視しています。
 まあとにかく、こういう「勇猛果敢・支離滅裂」な所は、昔も今も、航空自衛隊のお家芸なんでしょうか?

 さて、とりあえず、私が航空祭通いをはじめてから今まで、この機体が入間&百里の航空祭の空を飛ぶことはありませんでした。
 残念。一回でいいから、飛んでいる姿を見たかった・・・。

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08 November

入間航空祭の撮影機体から。Part 4

T-4 ノーマル T-4 ブルーインパルス
T-4 練習機
川崎重工製の双発練習機。
丸みを帯びた機体形状から、特にブルーインパルスの機体は非公式に「ドルフィン」と呼ばれる。
左がノーマルタイプ。右がブルーインパルス仕様の機体(5番機。通常、1〜6番機の6機編隊で演技飛行を行う)。


 双発エンジンの練習機で、自衛隊では主に、プロペラ機の教習が終了したパイロットを対象とした、ジェット機習熟訓練用の機体として使われているそうです。
 見た目に戦闘機っぽく見えるかもしれない(微妙な表現ですんません --;)外観ですが、アフターバーナーは装備しておらず、超音速を出すこともできません。
 ただし、運用速度に見合った飛行安定性が抜群(という触れ込み)で、優秀な機体らしいです(とりあえず、やたらと小回りがきく機体であることは、航空祭で飛んでいる所を見ればわかる)。

 現在、自衛隊内では212機が稼動中で、練習機の名前が示すとおりの訓練用途をはじめ、各基地間の連絡や人員輸送、ブルーインパルスの使用機体としてアクロバット飛行を披露するなど、多彩な用途で使われています。
 なお、ブルーインパルスで使われている機体は、アクロバット飛行に特化したチューニングが施されており、普通のT-4で同じことをやれ、といわれても、簡単には真似できないそうです。

 ちなみに、「訓練用」に特化した機体であるため、自衛隊という組織が使っている割には武装が全くできないという、ちょっと変わった所があります(T-2超音速練習機は武装できる。また、世界的に見ても、練習機も有事には武装できるようになっているのが普通)。
 しかし、最近はさすがにそれはマズイ、ということで、戦線投入が可能な型への改修を検討する動きがあるようです。
 とはいえ、この機体に武装を施した所で、いきなり戦闘機や攻撃機として使える機体になるとは思えませんが・・・(結局、自己防衛用に最小限の装備を積んで、偵察任務に就くのが主じゃないかな・・・)。

 ちなみに、ブルーインパルスの使用機体は、T-4の後継としてF-2を改造して充てる計画があったそうですが・・・。
 F-2調達機数の削減決定とともに白紙化した模様で、しばらくはこのT-4で飛ぶ姿が見られそうです。
 (スモークサイドワインダー装備の「F-2ブルーインパルス」って、見てみたかった気がする。まあどうせ、「こめこく」からは、『フェイクサンダーバーズ』と言われるんだろうけど ^^;)
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07 November

入間航空祭の撮影機体から。Part 3

ファントムII</div>
F-4EJ ファントムII
世界中で長年、運用されている歴戦の勇士。
航空自衛隊の中では、最も多用途に使用されている機体と言えるかも。

 初飛行が1958年といいますから、もう50年近く飛んでいる戦闘機になります(さすがに、初期生産頃のロットは退役しているでしょうが)。もともとは空母で運用する艦載機として米海軍向けに開発されました。
 実戦投入されたのはベトナム戦争が最初のようで、評判倒れに終わった米空軍のセンチュリーシリーズと異なり、唯一まともに戦った(戦えた)機体だそうです(この功績から、後にF-110として米空軍にも採用された)。

 この機体が開発された当時、空中戦はミサイルが主役になるものと考えられ、戦闘機はミサイルを運ぶだけの存在と考えられていたため、ファントムIIもミサイル搭載容量の大きさを確保することを目的に設計されていました。
 まあ、それが良い方向に転んで、パワフルで機動性に優れた機体が出来上がったようですが、見た目には戦闘機のイメージには程遠い、お世辞にもスマートとはいえない機体になってしまいました・・・。
 (航空祭会場で、イーグルやF-2と並ぶと、胴体がボコッと上に飛び出しているのが良くわかる・・・)
 加えて、開発当初段階では機銃(機関砲)が装備されていなかったため、格闘戦(接近戦)では近距離から機関砲をバンバン撃ってくるMig相手に苦労させられたようです(というか、格闘戦では撃つ弾がないから、それに持ち込まれる前に逃げるしかなかった。ミサイルは、遠すぎても近すぎても撃てない)。

 しかし、そんな機体が世界中で長く使われている理由は、単純に機体が大きく、パワーもあったので、後に色々と装備や電子機器を追加しやすかったこと(後に機関砲も装備に追加され、Migとも互角に戦った)。
 2人乗りで、複雑な電子機器を積んでも、1人は操縦専念、1人は電子機器操作専念と、分業ができたことが大きかったようです。

 自衛隊ではもともと、対空戦闘能力を持った機体しか保有していませんでしたが、F-1支援戦闘機の段階的退役に伴う対地上攻撃能力不足を補うため、急遽対地攻撃能力を付加した機体に改修したり、F-15Jの配備が進み、だぶついた機体を偵察型(RF-4EJ)に改修したり、とにかくいろいろな形で使われています。
 「使い捨て」が多くて無駄金を浪費する傾向にある自衛隊としては、機体のポテンシャルをいかし、よく使っている好例になると思います。
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06 November

入間航空祭の撮影機体から。Part 2

F-15J イーグル
F-15J イーグル
現在の自衛隊の主力戦闘機。
現在前線に出ている機体の中では、「世界最強」と言われている。


 現在、航空自衛隊には約200機が配備されているそうです。
 F-15シリーズは、高い運動性能と豊富な搭載火器を誇り、空対空戦闘においては初飛行以来30年が経つ今でも、被撃墜数がゼロという、すごい戦績を持っています。
 (地対空ミサイルによる攻撃では、3機、落とされているらしい。F-15E型が)

 もともとは、アメリカ空軍がその性能を世界に誇っていた、F-100番台の戦闘機(センチュリーシリーズ)をベトナム戦争に投入した所、実戦ではMig-21にボコボコにされたという苦い経験から、「負けないための方法論」の塊として生まれた機体だそうです。
 しかし、アメリカ海軍所有の従兄弟(?)機、F-14トムキャット(映画「トップガン」でトム・クルーズが乗っていたあの機体)と格闘戦をしたら、コテンパンにやられたとか・・・(超反則技である「フェニックス(※)」はなし、の条件で)。

 まあそれはさておき、もともとが超強力な機体であるため、色々な派生型が生まれ、最近では対地攻撃能力を付加したF-15E型(ストライクイーグルの愛称で知られる)が、自衛隊の時期F-X計画でも購入対象候補に挙がっていました。
 また、F-15E型は最近、韓国に売却が決定し、韓国型はF-15Kというコードネームで呼ばれるようになったそうです。
 ちなみに、日本のF-15JはF-15C(対空戦闘強化型)の日本型で、対空戦闘能力においては、アメリカ空軍のF-15Cと互角と言われています。

 なお、「世界最強の戦闘機」の座は、今後F/A-22ラプターに譲ることになるでしょうね・・・。
 模擬戦では、F/A-22はたった2機で、F-15E&F-16C混成6機編隊をあっさり全機撃破したようですし(撃たれた方は、いつやられたか気づかなかったらしい)、同時期に生まれたF-14は、完全退役が決まりましたし・・・。

(※)フェニックス
 F-14に搭載される、大型の長距離ミサイルのこと。
 100kmも向こうから飛んでくるという、とてつもない反則技のミサイルだが、湾岸戦争で使用された際には、航空機相手ではあまり当たらなかったらしい・・・。
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04 November

入間航空祭の撮影機体から。Part 1

F-2支援戦闘機
F-2 支援戦闘機
 自衛隊内非公式愛称、ヴァイパーゼロ
 アメリカ軍内非公式通称、フェイクファルコン

 F-SX計画時代から、日本独自開発の計画が、アメリカの介入でF-16ファイティングファルコンをベースとした機体とするように路線変更された機体だ(これが米軍で"にせものファルコン"と呼ばれる所以)というのが、専らの評判の機体です。
 しかしこの評判の中では、当時も今も、日本の持つ技術力だけではジェット戦闘機の開発はどう考えたって不可能なので、国産機とはいえ共同開発が前提なのは当然だったという本質論は、見事なまでに華麗にスルーされています(だが、深くツッコむと"あとが怖い"から控えよう ^^;)。

 とりあえず、同一コンセプトの機体としては、かなり時代遅れで登場した最先端機という、微妙な立場にある機体です(自衛隊にはよくある「最先端の時代遅れ」になってしまうのか?)。
 そのせいかどうか、防衛庁から「要求性能に達しない」という理由で調達機数が削減され、穴を埋めるために次期F-X計画(新型機体購入計画)が進行中なのは、以前話題に出したとおりです。

 色々な意味で、お騒がせだった機体ですが、どうやら部隊配備も進み、各所の航空祭では機動飛行も見られるようになったようです。
 入間では、正規プログラムの時間外に、普通に(本当に普通に)滑走して、普通に(本当に普通の上げ角で)飛び上がって帰投しました。
 (お〜い、F-15JとF-4EJは、離陸直後にバイバイ・スイングしていったぞ〜)
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