Complete text -- "私が丹沢に行かなくなった理由・・・。"

05 January

私が丹沢に行かなくなった理由・・・。

 本日段階で、まだ都内の人の数は、「日常」には戻っていません。
 どうやら、この週末まで「お正月」な人の数は、相当数に上るものと思われます。

 と、それを反映してかどうかわかりませんが、会社で同じフロアにある4つの部署のうち、2つまでが「仕事の都合とは関係なく無人」って状況なのは、何か間違ってませんか?
(電話対応する身にもなってくれ!って、それ以前の問題だけどさ・・・)

 では本題です。
 新年早々、鳥肌系の話題になりますが、私が最近、丹沢方面に行かなくなった、最も大きな理由が取り上げられていた新聞のコラムがあったので、御紹介しましょう。

 丹沢が泣いている:/4 ヤマビルの勢力分布(毎日新聞:神奈川県版)

 上のリンク先は、新聞媒体に良くあるように、ちょっとセンセーショナリズムに走っている傾向はありますが、状況はほぼ、実態を示していると考えて良いでしょう。

 「山」をやっている人の間では、ある種の恐怖として語られる吸血生物が、「マダニ」「ヤマビル」です。
 両者とも、見た目が奇異で気持ち悪い生物(特に、吸血後のマダニの姿なんて、気の弱い人が見たら卒倒しそう ^^;)であり、気がついたら喰われているという共通項があります。

 ちなみに、マダニは気付かずに家まで「お持ち帰り」してしまい、パンパンに膨らんだ姿で皮膚の上を歩く姿に「うぎゃぁぁぁ!」となることが多い反面、ヤマビルは気付かぬうちに体から離れており、傷口から流れ出る血で衣服が汚れ、その出血量に「うぎゃぁぁぁ!」となることが多いようです(ヤマビルの唾液には血液凝固を阻害する成分があり、傷口からはかなり長時間、血が流れ続ける)。

 とにかく、丹沢周辺のヤマビル被害は、関東の山ヤさん(特に沢ヤさんやバリエーション系の皆様)の間では有名です。

 曰く、

 「ストックで地面を叩いたら、落ち葉の間から数え切れない数がニョキニョキ立ち上がる

 とか、

 「気がついたら膝から下がスプラッターな状態(つまり血まみれ)だった」

 とか・・・。

 ちなみに、ヤマビルが集団で立ち上がる姿は、ムーミン谷の「にょろにょろ」が、極限まで気持ち悪くなった所を想像していただけば良いでしょう(実際は、あれ以上に大量の虫体が、ニョキッと立ち上がってユラユラ揺れてる)。

 という感じですが、とりあえず私が丹沢に近付かなくなった理由は、御想像通り、連中に「やられた」経験を持っているからなんですね(^^;)。

 数年前、東丹沢方面に出かけた時ですが、しばらく山道を歩いた後に、同行者に「ふくらはぎから血が出てるよ?」と指摘されたので見てみると、ズボンのすそから、丸々とした体の「コイツ」がコロンと落ちてきたという・・・(吸われちまった後だった・・・)。
 その後、咬傷はタオルでぐるぐる巻きにしたものの、1時間以上、ドクドクと血が流れ続けており、血を見るのが苦手な同行者は、私の血に染まったタオルとズボンに顔面蒼白になってしまい、私も私で、致死量に至ることはないとわかっていても、いつまでも止まらない出血に、かなり辟易とした覚えがあります。

 これ以降、私の中では東丹沢地区は「接近忌避区域」に設定されて、今に至ります。
 比較的近付くときがあるとすれば、春一番のギフチョウ探訪期くらいのもので、それ以外の時期にはまず、近付かなくなりました。

 このヤマビルはニホンジカの蹄に寄生して勢力を広げているらしいことがわかっており、上記リンク先を見ると、既に西丹沢の一部は勢力圏に入ってしまい、今後も拡大する事が懸念されているようです。
 それでは、距離的に近く、シカの生息数も多い奥多摩に、被害が飛び火する可能性はどうなんだ!という事を心配される方もいらっしゃるかもしれませんが・・・。

 近年の様子から、ニホンジカが生息圏を移動させる一番の要因は、餌不足によるものと考えられています。
 そして、奥多摩圏は既に食害が著しく、シカの間引きが行われているくらいの土地ですから、丹沢の個体群がそっちに移動するかどうかは、個人的には微妙な所だと思いますが・・・。
 (逆に、奥多摩圏のニホンジカは、生息域の顕著な南下が知られており、昔は姿を見なかった多摩川南岸でも、シカの足跡や食痕の確認が多数報告されている。とはいえ、丹沢と奥多摩は距離的にも近いため、分布圏の交雑と、それに伴うヤマビル勢力圏の拡大の可能性は否定できない)

 ちなみに、ヤマビルは虫除け剤やヤマビル専用の忌避剤で接触を避けられる他、エアーサロンパスなどの消炎剤もある程度の忌避効果を持つそうです(消炎剤については、直接噴射のみ効果あり、とも言われるみたいだけど)。
 ただし、どの薬剤もすぐに揮発するため、長時間行動する場合、こまめな塗り直しが必要です。

 また、咬まれてしまったら、なるべく傷口から唾液の血液凝固阻害成分を搾り出すようにした後は、血が止まるまで清潔なタオルや包帯などで、患部をぐるぐる巻きにしておくより他にないかもしれません。
 この時、(私も経験しましたが)とにかく出血量は傷の大きさに比べて、信じられない量になります。
 しかし、致死量に至るなんてことはまずないため、慌てず騒がず、血が止まるのを待ちましょう。
 (私の場合、フェイスタオルが1/4ほど、完全に血に染まりましたが、まだ生きてます ^^;)

 ちなみに、もう一つの恐怖の吸血生物、「マダニ」に咬まれてしまった場合ですが。
 こちらは無理に除去すると、頭部や口器(簡単に抜けないように、"かえし"がついている)が千切れて体内に残り、化膿してしまうため、そのまま皮膚科専門医にかかるか、自分から離れるまで待つしかありません(待てる人がいるとは思えないけど ^^;)。
 また、マダニは感染症を媒介する可能性があるため、咬まれた場合、症状にかかわらず、医者に行った方が良いでしょう(なお、マダニの感染症は、数日程度、抗生物質を服用すれば対処できるらしい)。

 とはいえ、マダニの被害は、ヒトよりペットの方が何倍も深刻(体毛が濃い分、取り付きやすいらしい)ですから、犬猫連れで山に入る皆様は、帰宅前に、ヒトよりペットの全身をチェックした方が良いと思います。

 なお、この「丹沢が泣いている」シリーズのこれまでの記事は、以下の場所で読めます(いずれも毎日新聞:神奈川県版)。

 丹沢が泣いている:/1 冬山を縦走、異変を見た(その1)

 丹沢が泣いている:/1 冬山を縦走、異変を見た(その2止)

 丹沢が泣いている:/2 餌不足にさらされるシカ

 丹沢が泣いている:/3 衰退するブナ

 ま、しかし、ちょっとセンセーショナリズムに走りすぎている部分もありますので、危機感を煽ろうとする文面は、話半分程度に受け取ることをお勧めしますが・・・。

22:45:00 | yo-ta | | TrackBacks
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