Complete text -- "デジカメのCCDの話"

05 May

デジカメのCCDの話

 デジカメの新製品が発表になると、デジカメ系サイトの掲示板で必ず議論のやり玉に上がるのが、そのデジカメのCCDサイズ(画素ピッチサイズ)の話です。
 例えば、「高画素≠高画質は常識」「1/2.7型で400万画素なんてクソ」みたいな感じの発言が、必ず一回はあるわけです(^^;)。

 しかし、こういった発言は、デジカメのマニアな方でもない限り、正しい意味を理解することは不可能でしょう。
 と、いうわけで、以下に私の理解の及ぶ限り、簡単な解説を付けてみましょう。

 上に出てきた話の中にある、「1/2.7型で400万画素」を例にとって話します。

 「1/2.7型」というのは、CCDの受光部の物理的な大きさを表します。
 1/2.7という数字が受光部の対角線の大きさで、単位はインチです。なお、このインチは度量衡でいう「長さの単位のインチ」ではなく、撮像管(つまりテレビ画面など)の大きさ表記で使う「インチ」が正しい単位になりますので、度量衡でいうインチよりわずかに短くなる・・・はずです(--;)。(この辺、理解があやふや)
 ちなみに、一般的なコンパクトデジカメに使われているCCDのサイズには、1/2型、1/2.5型、1/2.7型、2/3型等がありますが、いずれも縦横の大きさが数ミリ〜1センチを越えない、とても小さなサイズの撮像素子になります。

 「400万画素」は、言うまでもなくCCD上の有効画素数です。
 つまり、デジカメのCCDは、一辺が数ミリの長方形の中に、何百万というダイオードがずらりと並んだ物だ、という事になります。

 というわけで、大体基本的な事はおわかりいただけたでしょうか?
 これからデジカメを買いたいと思っている皆様の参考になれば幸いです。

 さて、それではここからはマニアな皆様が良く言う、「極小画素の弊害」についてです。

 これまでのデジカメは、最もわかりやすい性能進化の指標として、CCDの画素数を増やす、いわゆる高画素化を行ってきました。
 これにより、以下の問題が生じると言われています。

1. 光を受光する面積の割合が小さくなる。→感度低下
2. 画素あたりで受光した光のデータを貯める容量が小さくなる。
3. レンズの解像度が限界に達しやすくなる。
4. ファイルサイズが巨大化する。
5. 上記に付随し、記録メディア、PC等がついてこなくなる。

 1.については、ある程度(4割増し程度と良く言われる)は、ダイオード上のマイクロレンズの改良で改善されるようです。しかし、最近のコンパクトデジカメは、ISO感度(フィルムで言う100とか400に相当するもの)が標準で50程度の低感度で抑えられている機体が多くなっています。
 2.はバケツの大きさに例えられる事が多いですが、原稿用紙の升目と思っていただいた方がイメージしやすいかもしれません。A4で400字詰の用紙には、難しい字も楽に手書きできますが、紙のサイズが同じで字詰だけ多くなると、一つ一つの升目が小さくなり、難しい漢字は細部が潰れ(データが飽和し)て誤読(エラーやノイズ)の原因になります。
 3.は特に、絞りを絞り込んだ撮影で顕著で、コンパクトデジカメでマニュアルモードで操作する場合、F8より絞ると光の回折現象により、顕著に画質劣化(輪郭ぼけの発生)が生じます。
 4.と5.は吐き出す画像のピクセルサイズが大きくなるから当然ですが、小さいサイズで吐き出す事も出来るので、縮小画像の画質で割り切れる場合には、特に問題にならないかもしれません。

 というわけで、一般には「○○百万画素の高画質」という宣伝文句が使われるデジカメですが、上記問題を考えると、「高画素=高画質」という図式は必ずしも当てはまらない事がおわかりいただける事と思います。
 しかし、「画質」というものは、デジカメ内での画像処理エンジン(Canonのデジックが有名)の優劣でも大きく変化しますし、何より「人」の主観が多分にファクターとして入ってくる要素です。
 さらには、撮影後の画像処理(レタッチ)での扱いやすいさ等も、デジカメの優劣を考える場合のファクターになりうるので、単に「このCCDだからダメ」というのではなく、最終的な判断は、実際に撮影画像を見てみない事には下せない事も事実です。

 ・・・ただし、個人的には最近のコンパクトデジカメは、一部を除くと、マニアな皆様が指摘する「極小画素」の欠点に当てはまる機体が、少なからずあるという気がします・・・。
20:57:24 | yo-ta | | TrackBacks
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